日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G6-05
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G6:岩石・鉱物・鉱床学一般
タジャンテかんらん岩捕獲岩におけるスピネル-輝石シンプレクタイト:マントルダイアピリズムの証拠?
*清水 洋平荒井 章司
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抄録
【はじめに】南東スペイン、タジャンテ地域における捕獲岩としては、スピネル_から_斜長石相の比較的低圧を示唆するかんらん岩類が報告されており、それらはこの地域におけるモホ遷移帯、または最上部マントルを代表する物質と考えられている(例えば、Beccaluva et al. 2004など)。しかしながら、我々はスピネルかんらん岩中にスピネル、両輝石から成るシンプレクタイトを新たに見いだした。このことは、タジャンテかんらん岩類における新たな圧力履歴を構築するのに重要である。本講演では、タジャンテのスピネル-輝石シンプレクタイトの岩石学・地球化学的特徴を報告し、その意義について議論する。【かんらん岩類について】スペイン南東部タジャンテ周辺域には中新世にカルクアルカリ火山活動が、それに引き続き鮮新世にマントル捕獲岩を包有したアルカリ玄武岩が噴出した。超苦鉄質捕獲岩類は、Frey and Prinz (1978)の、Group I(レールゾライト_から_ハルツバージャイト)と、Group II(クライノパイロクシナイト)に分けられる。これらの岩石は複合捕獲岩(Irving, 1980)を形成することがある。【スピネル-両輝石シンプレクタイトについて】スピネル-輝石シンプレクタイトはスピネルかんらん岩に存在し、両輝石とスピネルから構成される細粒の集合体中に包有される。このスピネル-両輝石集合体はタジャンテのかんらん岩捕獲岩には一般によく観察されるものである。スピネル-輝石シンプレクタイトを構成するスピネル、単斜輝石、斜方輝石のそれぞれのモード組成比はおおよそ1:1:2である。スピネル-輝石シンプレクタイトを含むスピネルかんらん岩は予察的に行ったEPMA分析からタジャンテかんらん岩捕獲岩の中でも最も肥沃な融け残りかんらん岩に分類され(かんらん石Fo=90.4、スピネルCr#=0.12)、また斜方輝石、単斜輝石、スピネルの化学組成には、シンプレクタイト、両輝石-スピネル集合体、ホストのスピネルかんらん岩で有意な差は見られない。【スピネル-輝石シンプレクタイトの意義】タジャンテかんらん岩においてシンプレクタイトの周りにスピネル-両輝石集合体が存在するという岩石学的特徴は、北海道、幌満かんらん岩体におけるシンプレクタイトのそれと非常に類似している(例えば、Takahashi and Arai, 1989など)。幌満かんらん岩におけるシンプレクタイトはざくろ石(+かんらん石)のサブソリダス変化により形成されたと考えられている(Takahashi and Arai, 1989; 森下ら、1998)。幌満とタジャンテのシンプレクタイトの岩石学的類似性から、タジャンテかんらん岩におけるシンプレクタイトも同様のプロセスによって形成された可能性が高い。また、タジャンテのスピネルかんらん岩と斜長石かんらん岩の成因も幌満岩体のそれと同様に、サブソリダス変化によるものであると考えられている(清水、2000MS)。幌満かんらん岩体はマントルダイアピルの断片であると考えられているが(Ozawa and Takahashi, 1995)、タジャンテのかんらん岩類も同様にマントルダイアピルの破片である可能性がある。
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© 2004 日本鉱物科学会
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