抄録
ニュージーランド北島Ngatutura地域のWhitford Quarry(以下WFQ)のアルカリ玄武岩(1.5∼1.8 Ma)中にはダナイト,ウェールライト,クリノパイロクシナイト,ウェブステライト,ハルツバーガイトの捕獲岩が含まれる(径2cm以下).これらの岩石中に交代作用で形成された緑色(肉眼でエメラルドグリーン;薄片で淡緑色)の単斜輝石が見い出される.一部吸収されたようなクロムスピネルの周囲に特徴的に見い出される.そのほか,斜方輝石や初生的な単斜輝石の一部を置換したり,かんらん石の流体包有物に伴うように形成されている.化学組成はkosmochlor成分(Ko, NaCrSiO6)に富む(最高でNa2Oを3.3 wt%,Cr2O3 を5.9wt%含む)diopsideである(Ikehata & Arai ; Am. Min. in press).このKoを含むdiopsideは高いREE含有量(LREEでコンドライトの100倍,HREEで10倍)を有し,LREE,MREEに比べてTi,Hf,Zr,Ta,Nbに著しく枯渇している.また,ウェールライト中の低Ko diopsideでも同様の特徴が認められた.類似の特徴は,Tenerife(カナリー諸島)の交代作用を受けたかんらん岩捕獲岩の単斜輝石でも認められている(Neumann et al., 2002).これらの単斜輝石はホットスポット的環境下でのカーバナタイト的メルトによる交代作用の結果であると解釈されている.しかし,この化学組成的特徴は島弧マグマのそれと一致する.Rudnick et al. (1993)はこの点に短く触れ,「カーボナタイト交代作用の結果生じた単斜輝石は,REEに比べてHFSEに乏しいものの,Laに比べてNbの枯渇が認められない」ので,「島弧マグマとの関連は希薄である」としている.WFQの単斜輝石はすべてのHFSEの相対的な枯渇を示している.従来,このカーボナタイト交代作用の産物と島弧マグマソースとの関連はなぜかほとんど議論されていない.本発表では,両者の関連を再吟味したい.