日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G6-20
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G6:岩石・鉱物・鉱床学一般
シオワッカ石灰華半ドーム産ネスケホン石・ダイピング石・ノルスーパイト・水苦土石・ソーダ石様鉱物
*伊藤 俊彦
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抄録
 標題の炭酸塩鉱物は、マグネシウムに富む岩石に伴って見られる変質鉱物ならびに塩湖の蒸発乾固物に特徴的な鉱物として知られているものである。今回はその産状と成因は共に新たなものであり、報告してご批判を頂きたい。 これらの鉱物が産したシオワッカ石灰華半ドームは北海道足寄町上螺湾あり、主成分鉱物の方解石の他に炭酸カルシウム水和鉱物のイカアイト、モノハイドロカルサイト、ファテライトが産し、アラレ石以外の天然で知られる全ての炭酸カルシウム鉱物を産する。近年、湧水量の減少が顕著になり、石灰華ドーム下部の空洞部付近が、年間を通じて流れ下る水で覆われることが無くなった。その為に、今回報告する白色皮殻状、斑点状の鉱物集合が湿った部分で目立って見られるようになり、新たな鉱物の発見をみた。 石灰華を沈殿させた水は、水温が14°C前後の冷泉で、水質は他地域の石灰華を沈殿させている温泉・冷泉と比較をしても、Ca以外にもHCO3、Na、Clが高い含有量を示す点が特徴である。少ないMg含有量からもネスケホン石[MgCO3・3H2O]、ダイピング石[Mg5(CO3)4(OH)2・5H2O]、水苦土石[Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O] 及びノルスーパイト[Na2Mg(CO3)2Cl] 等のMgを主成分とする鉱物の生成に、冷泉の水質は直接的には結びつかないことを示めしている。 これら炭酸塩鉱物は石灰華空洞内部ならびに湿った入りの口上部に産する点で、方解石等の炭酸カルシウム鉱物が直接冷泉から生じているのとは異なる。またその大半が淡黄色の石灰華を覆う緑藻の上に白い斑状、皮殻状で産し、直接石灰華を覆っては見られない。このことは夏季ではなく冬から春にかけて生成したことを示唆する。また、冬期間は地表でイカアイトが生成しており、石灰華を通過の途中や空洞表面でも炭酸カルシウム鉱物として冷泉水中のCaイオンは沈殿消費されて、Mgイオン濃度が高まる。また、寒冷の気温は乾燥を促して塩濃度を更に高め、且つ、CO2の逸失を遅らせるように働いたことが考えられる。 ネスケホン石は柱状自形結晶が放射状集合、水苦土鉱は板状、短柱状自形で単独、皮殻状を示して産し、何れの結晶も実体顕微鏡で確認出来る程度の粒径である。ダイピング石は花弁状・網目状集合で、SEMでやっと個々が確認出来る程度の大きさ。ノルスーパイトのサイズも極めて小さいが、明瞭な八面体結晶を示す。ナトロン(Na2CO3ソーダ石)はX線回折結果でのみ判断したもので、1試料でしか認められていない。本試料は肉眼では濡れたゼラチン様で、時間と共に分解を続け、最終的にはトロナ(Na2CO3 10H2O)とサーモナトライト(Na2CO3・H2O)に変わった。
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© 2004 日本鉱物科学会
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