主催: 日本岩石鉱物鉱床学会
ホットスポット活動の初期には短時間に大量のマグマが噴出して洪水玄武岩や巨大な海台を形成する。ケンブリッジ大学のS.Gibsonは白亜紀以降の洪水玄武岩の地質調査から、最初期に特徴的なFeO成分に特に濃集したフェロピクライトマグマが活動することを示した。我々は新鮮なフェロピクライトを出発物質に用いて7GPaまでの高圧融解実験を行い、1)リキダス相の組み合わせ、2)融解温度幅、3)融け残り鉱物の組成などからフェロピクライトが5GPa付近の圧力でgarnet-pyroxeniteが部分融解してできたマグマであることをしめした。実験結果とフェロピクライトの産出状況から洪水玄武岩の基となるマントルプルームに大量のリサイクル物質(沈み込んだかつての海洋地殻)が含まれていること、および、カンラン岩とエクロジャイトの融点の差からフェロピクライトの産出がプルームの最初期に限られる理由を説明する。