日本調理科学会誌
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大根の加熱および保存過程がコラーゲン,グリセリド,塩化ナトリウムの浸透および硬さに及ぼす影響
杉山 寿美三宅 彩矢多田 美香水尾 和雅都留 理恵子
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2011 年 44 巻 1 号 p. 64-71

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抄録
加熱過程および保存過程における煮汁に含まれるコラーゲン,グリセリド,塩化ナトリウムの大根への浸透と大根の硬さについて検討した。
その結果,加熱過程では大根の重量が減少すること,グリセリドおよびコラーゲンは大根内部へほとんど浸透しない一方,塩化ナトリウムは速やかに浸透することが示された。グリセリド,コラーゲン,塩化ナトリウムのいずれも大根表面部と内部の量は有意に異なっていた。また,加熱温度が高く,加熱時間が長い場合は内部よりも表面部が硬いことも示された。
保存過程では,温蔵,冷蔵保存のいずれでも大根の重量が増加すること,大根表面部と内部の塩化ナトリウム量の濃度差が認められなくなる一方,グリセリドおよびコラーゲン量には差が認められること,大根表面にはコラーゲンが温蔵保存で浸透し,グリセリドが冷蔵保存で表面に付着することが推察された。これらのことから,保存過程が煮物のおいしさに影響することが推察された。
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© 2011 一般社団法人日本調理科学会
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