JAMSTEC Report of Research and Development
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原著論文
波長適応技術を用いた海中LED光無線データ通信
林 新澤 隆雄
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2014 年 19 巻 p. 11-18

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抄録

深海環境の高速データ通信を実現するために,水中での高透過率を持つ可視光LEDを使った海中データ無線通信方式を提案した.縦波である水中音波は空気中より長距離まで伝搬し,現在最も利用されている水中通信手段であるが,伝送速度には限界があり,海中の温度変化がもたらす音速分布の不均一性により音波が屈折し,通信可能な方向に変化が生じるなど,通信安定性に課題がある.一方,波長380 nm-780 nmの可視光波は,海水中での減衰が極めて低く,可視性により,伝搬方向や位置範囲の制御が容易である.特に,光固有の高い指向性と集光性を生かすことにより,大容量の高速無線通信が期待できる.しかしながら,自然水である海水を伝搬する可視光波は,海域環境の変化により分光減衰特性を持つ.そこで本論文では,伝送路の海水濁度の変化に対して,光波長多重自動切り替え機能を有する通信手段を提案する.

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