JAMSTEC Report of Research and Development
Online ISSN : 2186-358X
Print ISSN : 1880-1153
ISSN-L : 1880-1153
報告
照射光の影響による浮遊性甲殻類Vibilia stebbingi (端脚目クラゲノミ亜目) の体色変化, ならびにプランクトン自動種同定システムの開発に向けての留意点
森 美由貴Dhugal J. Lindsay
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 8 巻 p. 37-45

詳細
抄録

近年, 生きた生物の現場での観察・収録が可能となり, ビジュアル・プランクトン・レコーダー (VPR) などで取得された画像を用いた解析技術が注目を集めている. それに伴い, カラー映像によるプランクトンの色, 模様, 形など, さまざまな指標を用いての自動種同定システムの開発が進められている. 本研究において, 浮遊性甲殻類である端脚目クラゲノミ亜目のVibilia stebbingiに対して, 昼光色蛍光灯光, 赤色光, 紫外光 (A領域) による30分の照射実験を行ったところ, 全ての場合で体色の暗色変化, および模様の変化が観察された. このように一部のプランクトンが体色変化を示し, 光環境によって体色や模様が異なるという事は, カラー画像における体色や模様を指標として用いようとしている自動種同定システムの今後の開発および発展において, 体色や模様の変化がもっと考慮されるべきであり, また, よりいっそうの知見の構築が必要であることを示唆する.

著者関連情報
© 2008 独立行政法人海洋研究開発機構
前の記事 次の記事
feedback
Top