2014 年 63 巻 3 号 p. 350-354
今回,トロンビン塗布位置を改良した高速凝固採血管について遠心後のフィブリン析出状態および従来採血管との検査値と報告時間の比較検討を行った.フィブリン析出状態の検討では,採血直後に転倒混和を行うことで放置時間5分後の遠心分離(5分)でフィブリン析出が回避できた.患者20名について40項目の検査値を比較した結果,ほとんどの項目で有意差がなく,一部の有意差を示した項目でも平均値とSDは臨床的には問題はない値と考えられた.検査結果報告時間は,従来採血管に比べ,生化学検査で平均約10分,感染症検査で平均約14分短縮した.改良型高速凝固採血管は,短時間での血清分離が可能で,従来採血管との検査値の乖離もないことから検査結果報告時間の短縮に有用であると考えられた.