医学検査
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63 巻, 3 号
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原著
  • 星 雅人, 堀田 真希, 宿谷 賢一, 野崎 司, 古川 博, 滝 賢一, 油野 友二, 稲垣 勇夫
    原稿種別: 原著
    2014 年63 巻3 号 p. 275-282
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    最近,硝子円柱における臨床的意義に関する多くの報告があるが,硝子円柱の詳細な形態基準は未だ明らかではなく,判定のバラツキが大きいのが現状である.我々は尿検査担当技師643人に硝子円柱フォトアンケート調査を実施し,得られた結果から硝子円柱判定の形態学的特徴の解析とその解析結果に基づいた硝子円柱形態判定フローチャートを作成した.本調査結果により,硝子円柱判定のバラツキの収束と統一化された判定基準による硝子円柱の臨床的意義の解明が望まれる.
  • 宇木 望, 田辺 一郎, 東谷 孝徳, 太田 昭一郎, 末岡 栄三朗
    原稿種別: 原著
    2014 年63 巻3 号 p. 283-287
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    当院での新生児聴覚スクリーニングの実施状況について統計的分析を行った.当院での要再検査(refer)率は2.12%と,全国データ0.31%と比較し有意に高値を示した(P < 0.05).しかし,新生児難聴のリスクファクターの有無によりハイリスク児群およびローリスク児群に分類し,それぞれのrefer率をみると,当院のrefer率と全国データでは有意な差は認められなかった.当院は大学病院という特性からハイリスク児の割合が高く,全体のrefer率は高値を示したものと考えられた.また,検査手技等による偽陽性のreferと思われる症例もあったことから,保護者の無用な不安や不必要な精密検査を減らすためにも,今後は検査精度を高める工夫が必要であると考えられた.
  • 和泉 彬彦, 大河原 愛, 杉山 嘉史, 原田 ひろみ, 杵渕 雅彦, 廣瀬 春香, 米澤 広美, 宮島 栄治
    原稿種別: 原著
    2014 年63 巻3 号 p. 288-293
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    今回我々は,経口腸管洗浄剤がイムノクロマト法を原理としたClostridium difficile Toxin検出キット(Toxin検出キット)に与える影響について検討した.大腸内視鏡検査施行時に採取された腸管洗浄剤を含む便42検体を対象としてToxin検出キットを実施したところ,37検体が陽性となった.しかしながら,培養後コロニーが得られたのは7検体で,そのうちイムノクロマト法でToxinが検出されたのは,4検体のみであった.すべての腸管洗浄剤を含む便検体およびコロニーからDNAを抽出し,PCR法によりToxin産生型を精査すると,同一の4検体でA+B+型が確認された.そこで,腸管洗浄剤を3濃度に調整した溶液を検体として,Toxin検出キットを実施した.その結果,濃度依存的に陽性反応が見られた.さらに,腸管洗浄剤の主成分であるポリエチレングリコール4000(PEG4000)溶液でも陽性反応が確認できた.よって,PEG4000を含む腸管洗浄液検体は,本Toxin検出キットにおける検査材料として不適である.また,診療に使われる様々な治療薬には,PEG4000が含有しているため,Toxin検出キットのみならず,他のイムノクロマト法を原理とした検査試薬にも影響を及ぼす可能性があり,注意が必要である.
  • 森田 幸, 根ヶ山 清, 三好 そよ美, 木内 洋之, 梶川 達志, 末澤 千草, 上野 一郎, 村尾 孝児
    原稿種別: 原著
    2014 年63 巻3 号 p. 294-299
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    食用鶏腸管内容物と市販鶏肉を対象にESBL産生E. coliの保菌・汚染状況を明らかにするとともに,分離株のESBL遺伝子型や分子疫学的関連性から汚染経路について検討を行った.食用鶏腸管内容物の65.1%(71/109検体)から88株のESBL産生E. coliが分離された.市販鶏肉では68.0%(34/50検体)から47株が分離された.ESBL遺伝子型は腸管内容物由来株では,CTX-M2型の占める割合が65.9%と最も高かったが,市販鶏肉由来株では,遺伝子型の偏りは認められなかった.養鶏場別のPFGEの結果,類似したバンドパターンを示す株が認められた.以上のことから,ESBL産生菌は養鶏場内で伝播することにより飼育段階で広く保菌されていると考えられた.さらに,事前に見学した食肉加工場の様子から,その処理工程においてESBL産生菌による鶏肉の汚染が拡大している可能性が推察された.
  • 二村 英憲, 加藤 秀樹, 遠藤 美紀子, 永山 円, 恒川 浩二郎, 大屋 輝明, 山岸 宏江, 湯浅 典博
    原稿種別: 原著
    2014 年63 巻3 号 p. 300-304
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    Carbohydrate Antigen 19-9(CA19-9)はLewis式血液型がLe(a–, b–)の症例では低値をとることが知られている.しかしLewis式血液型検査をルーチンに行うことは本邦では保険適応されていない.これまでにCA19-9測定値からLewis式血液型を推定しようとするいくつかの研究が行われてきたが,研究者によってCA19-9測定法が異なったり,推定方法が複雑であるため一般化に制限があった.そこで当院におけるCA19-9低値例106例とLewis式血液型の関係を検討した.また,消化器系癌と診断され死亡するまでの経過中にCA19-9が複数回測定された593例のCA19-9の変化を解析した.CA19-9≦1.0 U/mlの症例116例中115例(99%)はLewis式血液型がLe(a–, b–)であった.消化器系癌と診断され死亡した患者593例中,経過中にCA19-9最低値≦1.0 U/mlを示した症例は55例で,そのうち53例(96%)ではCA19-9最高値は基準値(37 U/ml以下)を上回らなかった.CA19-9≦1.0 U/mlを示す症例はLe(a–, b–)であることが多く,CA19-9を継続して測定する意義は乏しい.
症例報告
  • 吉田 晃浩, 関谷 正徳, 内藤 通孝
    原稿種別: 症例報告
    2014 年63 巻3 号 p. 305-310
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen,CEA)は各種悪性腫瘍の診断および治療後の経過観察において重要な指標であり,臨床において測定される最も一般的且つ,汎用されている腫瘍マーカーである.今回我々は,乳癌の術後経過観察で腫瘍の再発が認められないにも関わらず,血清CEA値が夏季において一過性に5~10 ng/ml以上の高値を示した症例を経験し,その原因について検討を行った.その結果,血清CEA値と週間平均気温,ALT,赤血球数,ヘマトクリット値との間に有意な負相関が認められた.また,週間平均気温が25℃を超えて急激に変化した場合においても,同様に血清CEA値が増加傾向を示すことが明らかとなった.以上より,血清CEA値が夏季,一過性に高値を示した原因として,気温上昇に伴う週間平均気温の上昇が,肝臓等の臓器機能に影響するとともに,CEAの産生・分泌,およびその後の代謝に影響を及ぼした可能性が示唆された.
  • 池ヶ谷 佳寿子, 野中 春那, 加瀬澤 友梨, 土屋 憲, 藤田 雄一
    原稿種別: 症例報告
    2014 年63 巻3 号 p. 311-316
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    31歳の妊婦において,帝王切開後にMycoplasma hominisによる腹腔内感染から敗血症に進行した症例を経験した.発育菌は血液寒天培地,チョコレート寒天培地およびPEA加ブルセラHK寒天培地(ウサギ)上で3日目に微小なコロニーを形成した.コロニーをグラム染色するも菌体は確認できず,顆粒状のものが観察されるのみであった.菌株は遺伝子解析によりM. hominisと同定された.参考値として実施した各種抗菌薬に対する薬剤感受性は,マクロライド系抗菌薬で高いMIC値を示し,Clindamycin,Minocyclineは低いMIC値を示した.M. hominisは産婦人科領域における骨盤内炎症性疾患をはじめとし各疾患との関連を示唆する報告がある.β-ラクタム系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬に反応しない症例や,遅発育で微小なコロニー形成,さらにコロニーのグラム染色で菌体が確認されない場合,M. hominisの関与を考慮する必要があると考える.
  • 万力 麻美, 桑原 隆一, 安原 眞由美, 三重野 寛
    原稿種別: 症例報告
    2014 年63 巻3 号 p. 317-321
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    我々は,感染経路不明のEntamoeba histolyticaE. histolytica)による肝膿瘍を経験した.症例は39歳,男性.38℃台の熱が持続し,肝膿瘍疑いにて当院入院となった.CT所見よりアメーバ性肝膿瘍が疑われ,ドレナージにより採取された膿瘍検体の直接塗抹法にて,赤血球を捕食し,偽足を出して運動するアメーバの栄養型が認められた.病理細胞診標本(Papanicolaou,Giemsa,PAS)からも栄養型が検出され,抗赤痢アメーバIgG抗体価は100倍陽性であった.また,PCRからもE. histolytica 遺伝子が検出された.患者は経皮経肝ドレナージおよびmetronidazole(1,500 mg/day)による治療により,13日後に軽快退院した.今回,消化管症状を伴わず,MSMなどの感染リスクが認められないアメーバ性肝膿瘍であったため,膿瘍検体からの栄養型の検出が早期治療に有用であった.
  • 吉田 雅弥, 川口 謙一, 津田 勉, 笠原 良彦, 北里 浩
    原稿種別: 症例報告
    2014 年63 巻3 号 p. 322-326
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    患者は出生時体重2,590 g,出生時Hbは5.4 g/dl,輸血が必要であり,血液型はオモテ検査のみでA型RhD陽性と判定した.A型RhD陽性の赤血球濃厚液(RCC)と交差適合試験を実施したが,不適合となり母体由来の抗体を示唆した.母体はO型RhD陽性,不規則抗体なし,抗A抗体価IgG 512倍,HbF 0.8%,AFP 6,781 ng/mlであり,患者の血液が母体内に流入し,母児間輸血症候群fetomaternal transfusion syndrome(FMT)が疑われた.FMTによって母体はIgG性の抗Aが高力価となり,胎盤を通過して患者の血液内に流入したと考えた.患者は抗A抗体価IgG 8倍を認めた.O型RhD陽性のRCCと交差適合試験を実施し,適合となったため投与した.輸血後に患者は快方へ向かい,無事退院した.FMTは妊娠のほぼ全症例で起こっていると言われているが,重症例は注意が必要である.
  • 大城 雄介, 手塚 俊介, 花井 亜莉沙, 土橋 悦子, 長谷川 達朗, 土井 誠一, 宮崎 澄夫
    原稿種別: 症例報告
    2014 年63 巻3 号 p. 327-330
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    患者は咳嗽,発熱,頭痛,眼瞼腫脹,下肢痛,歩行失行を主訴とし当院小児科外来を受診した1歳男児.血液像検査で異常細胞が認められなかったにもかかわらず,髄液サムソン染色で大型,N/C比大,核小体明瞭,核クロマチン構造が繊細な細胞が孤立散在性に認められた.血液疾患が疑われた為,髄液検体を用いてメイグリュンワルド・ギムザ染色,ペルオキシダーゼ染色,エステラーゼ二重染色を行った.メイグリュンワルド・ギムザ染色では芽球様細胞が散見された.これらの細胞は非特異的エステラーゼ染色が陽性でフッ化ナトリウムにより阻害され,ペルオキシダーゼ染色と特異的エステラーゼ染色が陰性だった.我々はこの結果を直ちに臨床に報告し,結果的にこの患者は急性骨髄単球性白血病(FAB分類M4)と診断されるに至った.髄液検体での血液染色により,急性白血病を迅速に指摘することができた症例だった.
技術論文
  • 宮原 悠太, 敷地 恭子, 古谷 裕美, 阿座上 匠, 原田 美紀, 水野 秀一, 中村 準二
    原稿種別: 技術論文
    2014 年63 巻3 号 p. 331-336
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    MRSAのバンコマイシン(VCM)MIC測定結果が2 μg/mlの場合,臨床においてVCM治療の失敗する可能性があることが知られている.VCM MIC測定結果は測定方法によって異なることが知られており,マイクロスキャンPos Combo 3.1Jパネル(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社)を用いた場合,プロンプト法と基準濁度法の菌液調整方法によって測定結果が異なると報告されている.本研究ではプロンプト法と基準濁度法のVCM感受性測定結果の感度の違いを検討することを目的とした.当院で検出されたS. aureus 91株を対象として,CLSI推奨微量液体希釈法に準拠するドライプレート‘栄研’(栄研化学)の測定結果を基準とし,両法のVCM MIC測定結果を比較した.結果,ドライプレート法を基準とした一致率はプロンプト法が40.7%に対し,基準濁度法は81.3%であった.プロンプト法は基準濁度法よりも高値になる傾向が見られ,VCM MICは基準濁度法を用いて測定したほうが良かった.
  • 土田 秀, 寺田 美保, 新井 美紀, 神山 晴美, 布瀬川 卓也, 真下 友実, 富岡 千鶴子, 竹内 浩司
    原稿種別: 技術論文
    2014 年63 巻3 号 p. 337-342
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    大腸癌に対する抗EGFR抗体薬はKRAS遺伝子変異のある腫瘍では薬剤効果がないことから,治療対象の選択にはKRAS遺伝子検査が重要となる.しかし,遺伝子検査は高度な操作技能などが必要なため,外注検査で対応している施設が多い.今後は迅速な治療方針決定のために院内検査での対応を求められることが予想されるため,DNA自動精製装置と遺伝子解析装置を組み合わせた自動化法でKRAS遺伝子検査の検討を行った.外注検査は結果報告まで約7日要したが,自動化法では翌日に結果を得ることが可能であった.実際の手技に用手法は約35分費やしたが自動化法は約7分であった.外注検査と自動化法の結果は全て一致したが,用手法は他法で野生型であった2例で変異型と判定された.今回の検討からKRAS遺伝子検査を院内検査として病理部門の限られた人員で行い,安定した結果を得るためには自動化が有効と思われた.
  • 森本 隆行, 津川 和子, 河原 博子, 杉山 英二, 横崎 典哉
    原稿種別: 技術論文
    2014 年63 巻3 号 p. 343-349
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)の測定は,今日ラテックス免疫比濁法(LTIA法)が広く普及している.今回我々は,積水メディカルおよび栄研化学のLTIA法2種類において試薬の基本性能の評価およびELISA法と同一検体を同施設内にて比較を行った.基礎的検討の結果では2試薬共に良好な結果であった.特に測定レンジではELISA法と比較して,高い測定範囲を有していた.ELISA法との相関は良好であったが一部乖離検体を認めた.乖離した検体に対して免疫グロブリン,RF,異好抗体による処理試験を行った.その結果,ELISA法において非特異反応と思われる変化を認めた.今回の検討では新規2試薬の基本的性能は良好であり,ELISA法と比較しても有用性は高い.また,ステロイドの影響では測定系への直接の影響はないものと思われる.
  • 石田 奈美, 生戸 健一, 佐藤 伊都子, 林 伸英, 河野 誠司
    原稿種別: 技術論文
    2014 年63 巻3 号 p. 350-354
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    今回,トロンビン塗布位置を改良した高速凝固採血管について遠心後のフィブリン析出状態および従来採血管との検査値と報告時間の比較検討を行った.フィブリン析出状態の検討では,採血直後に転倒混和を行うことで放置時間5分後の遠心分離(5分)でフィブリン析出が回避できた.患者20名について40項目の検査値を比較した結果,ほとんどの項目で有意差がなく,一部の有意差を示した項目でも平均値とSDは臨床的には問題はない値と考えられた.検査結果報告時間は,従来採血管に比べ,生化学検査で平均約10分,感染症検査で平均約14分短縮した.改良型高速凝固採血管は,短時間での血清分離が可能で,従来採血管との検査値の乖離もないことから検査結果報告時間の短縮に有用であると考えられた.
資料
  • 倉田 道也, 久留島 幸路, 大井 直樹, 角越 信郎, 村山 舞, 鈴木 悠子, 嶌 三穂, 嵩 眞佐子
    原稿種別: 資料
    2014 年63 巻3 号 p. 355-359
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    当院では,多くの研修医が超音波検査を患者対象に選択実習研修としているが,十分な技術・知識の習得が有効になされていない.そこで我々は研修医対象に,超音波検査の基本走査法習得・描出能向上を目標とし時間外での超音波検査研修会を開催した.研修領域はFocused assessment with sonography for trauma(FAST),心臓エコー検査,腹部エコー検査とし,研修医2人1組で相手を模擬患者とし研修を行った.受講率は各領域ともに90%以上であり,各研修医の年間受講回数は心臓エコー検査で最大19回(中央値6回),腹部エコー検査で最大13回(中央値6回)であった.90%以上と多くの研修医が時間外研修を受講しており,本研修は有用であると思われた.またこの研修は,病院当局から高く評価され教育システムに採用された.技師が指導して研修医が相互に模擬患者となる時間外研修に続き,選択実習研修を合わせることにより効果的な教育システムを確立できると考えられた.
  • 松井 学, 田中 伸久, 中田 沙耶, 長井 綾子, 中村 雄策
    原稿種別: 資料
    2014 年63 巻3 号 p. 360-365
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    CONUT(controlling nutritional status)は栄養不良患者のスクリーニングに使われる栄養評価法である.CONUTは成人の臨床検査基準値を基に,スコア基準を設定している.そのため,CONUTを小児に利用するためには検討が必要と考えられる.まず初めに,小児を対象として,血清アルブミン値単独による栄養評価と,CONUTによる栄養評価を行い,比較した.その結果,血清アルブミン値単独による栄養評価法では多くの栄養不良と思われる患者が検出されなかった.一方で,CONUTでは多くの栄養不良でないと思われる患者が検出されてしまった.そのため,CONUTのスコア基準を小児の基準値に合わせて補正し,補正前と補正後のCONUTを比較した.その結果,問題点が改善されたので報告する.
  • 山城 明子, 菅沼 直生子, 柴田 洋子, 田村 明代, 老田 達雄
    原稿種別: 資料
    2014 年63 巻3 号 p. 366-373
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    近年臨床検査は各領域が専門的になり多様化している.検査相談室は医師をはじめとする院内職員からの臨床検査にかかわる問い合わせの窓口を一元化することにより,病院内の業務が円滑に機能することを目的に2007年7月に開設した.専任の技師はおらず,数人の臨床検査技師が日常業務を兼務しながら,PHSを携帯し随時電話・来訪に対応している.対応時間は勤務時間内の8:45~17:30で担当者が院内にいる間は対応している.問い合わせ内容はMicrosoft社のAccessを利用してデータベースを作成し,内容シートへ入力しデータを構築した.また,今までの問い合わせを検索できる機能を付けて活用している.2007年7月に開設して1年目の問い合わせ件数は157件であったが,5年目は847件と6年目は902件と開設当初に比べ約6倍の件数増加となった.開設当初は単純な質問が大部分だったが,近年では相談やクレーム・要望等が増えた.検査相談室開設から6年間が経過し問い合わせ件数も順調に増加し,病院内での検査相談室の認知度も上がってきたと思われる.今後,臨床のニーズにいつでも,迅速に,正しく応えることができるように改善していきたいと思う.
  • 小林 千明, 中西 優子, 大西 和夫, 小島 裕治, 矢花 正
    原稿種別: 資料
    2014 年63 巻3 号 p. 374-378
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    近年,AFP濃度10 ng/ml以下でAFP-L3%が測定できる高感度AFP-L3%が登場し,AFP低濃度域での測定が可能となったが,今回AFP低濃度域における臨床的有用性を検討した.PIVKA IIは腫瘍径と相関するが,AFP-L3%においては腫瘍径とは必ずしも関連せず,生物学的悪性度と関連し高値となる傾向を認めた.AFP-L3%は悪性度を反映し,予後予測や治療のモニタリングに用いることが有用である.また,コンビネーションアッセイを用いることで診断に有用であった症例があり,高感度AFP-L3%を用いて測定することは典型的なHCCのみならず,肉腫様HCCといった特殊なタイプのHCCの検索にも有用である.
  • 松尾 龍志, 松本 いつか, 久保田 緑
    原稿種別: 資料
    2014 年63 巻3 号 p. 379-385
    発行日: 2014/05/25
    公開日: 2014/07/10
    ジャーナル フリー
    今回,われわれはLine Probe Assayによるリファンピシン(RFP)耐性遺伝子検査「ジェノスカラー・Rif TB」を使用し,その有用性について検討した.当院で新規に培養やPCR検査等で抗酸菌陽性と判定された100検体を対象として結核菌群の同定とRFPにおける薬剤感受性を従来法と比較した.結果,結核菌群の同定については感度95.7%,特異度96.0%を示した.RFPの薬剤感受性については,RFP耐性株はなくすべてRFP感受性株で一致率が100%(93/93)であった.本キットの採用により少数ではあるが培養陰性検体や非定型抗酸菌(NTM)との混合感染など薬剤感受性検査が今まで不可能であった検体や結果報告に多くの時間を要する検体の実施が可能となった.結核医療基幹病院である当院にとってこの検査の有用性は高いと考えられる.
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