医学検査
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症例報告
迅速な連絡が早期診断につながった薬剤性無顆粒球症
大金 亜弥常名 政弘増田 亜希子大久保 滋夫平野 賢二小池 和彦矢冨 裕
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2014 年 63 巻 4 号 p. 413-417

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抄録
無顆粒球症は,末梢血液中の好中球数が500/μL以下の状態と定義される.原因としては薬剤性が多い.我々は,検査室からの連絡が迅速な対応につながった薬剤性無顆粒球症を経験したので報告する.症例は67歳,女性.細菌感染を伴う原発性硬化性胆管炎に対して様々な抗生剤を投与されていたが,2週間後に白血球数が1,700/μL(好中球0%)まで減少した.無顆粒球症の可能性が考えられたため,直ちに担当医に連絡し,早期に治療が開始された.薬剤性無顆粒球症では,免疫学的機序と中毒性機序の2つの発生機序が考えられている.本症例の骨髄像では顆粒球系細胞の成熟障害を認めたため,中毒性機序が考えられた.無顆粒球症ではしばしば重症感染症を合併するため,早期発見が重要である.副作用として無顆粒球症の頻度が低い薬剤の場合,白血球数のモニタリングが十分に行われていない可能性があるため,臨床への迅速な結果報告が必要と考えられた.
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© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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