抄録
当院では病理システムを新規構築するにあたり,Micro QR Codeを用いた2次元コード運用が可能なカセット印字機の新規導入を行ったが,印字されたMicro QR Codeのパラフィン包埋後の認識率が低いことを経験した。そこで今回我々は,カセット上の印字部分のレイアウトを再構築し,同一の条件下でMicro QR Code(Micro QR)と別の規格であるData Matrix ECC200(Data Matrix)の認識の違いを検討した。その結果Micro QR(実業務における検討対象522件中14件)と比較し,Data Matrix(同566件中1件)では読み取り速度が早く認識率においても良好な結果が得られた。読み取りに問題があった2次元コードの印字面を観察すると,Micro QRではそのほとんどに切り出しシンボルの傷や欠損が認められ,2次元コードにおいて重要な位置検出パターンが明瞭に印字されることが読み取り速度や認識に大きく関与することが推察された。以上より,パラフィン包埋後のカセットに印字する方法として,Data Matrixは位置検出パターンを正確に保持することで,Micro QRと比べて優れた読み取りスピードと認識率の向上が得られると考えられる。