医学検査
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原著
病理標本のアーチファクトの克服(第1報)―チャタリングのメカニズムとその解消方法の検討―
西川 武田中 京子龍見 重信小関 久恵松尾 郁福井 義雅大林 千穂
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2015 年 64 巻 3 号 p. 281-287

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抄録

チャタリングは子宮筋腫など硬い標本薄切時に生じる,刃線に平行な振動状の,厄介なアーチファクトである。今回我々は,チャタリングの生じ易い状況と,その解消法を検討した。チャタリングは,薄切厚が薄い,薄切速度が速い,及びブロック温度が低い場合に生じやすかった。また,チャタリングは,組織ブロック作成時の脱水およびパラフィン浸透時の加熱による組織収縮硬化部位を起点とする薄切時の薄切刃の振動に加え,薄切手技など複合的な要因で発生すると思われた。チャタリング解消には,湿布やミスト加湿器でブロック表面に水分を与ることが有効であった。これは再水和により組織が軟化し,薄切刃の振動が抑えられたためと考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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