医学検査
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原著
子宮体部原発間葉系腫瘍におけるPhospho-histon H3(PHH3)発現の検討―特に平滑筋肉腫,癌肉腫について―
松井 成明梶原 博川島 真人塚田 ひとみ中村 直哉佐藤 慎吉
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2015 年 64 巻 3 号 p. 272-280

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抄録
子宮原発間葉系腫瘍および上皮性・間葉性混合腫瘍を用いPHH3の有用性について検討した。対象は,子宮平滑筋肉腫(以下,LS)12例および子宮癌肉腫(以下,CS)10例(homologous 6例,heterologous 4例)を用いた。これらをもとに免疫組織化学的にみたPHH3,Ki-67発現およびHE染色標本内の核分裂指数を評価した。これらの結果,LSにおけるPHH3発現は平均1.48,Ki-67発現は平均37.47,HE染色標本内の核分裂指数は平均0.62を示していた。HE染色標本内の核分裂指数とPHH3発現の比較では,PHH3発現が有意に増加を示していた。さらにPHH3に比してKi-67発現は有意に増加し,比較的良好な相関を示していた。一方,CSの肉腫様成分におけるPHH3発現は平均1.90,Ki-67発現は平均39.88,HE染色標本内の核分裂指数は平均0.76を示していた。また,癌腫成分のPHH3発現は,平均3.79,Ki-67は平均44.49,HE染色標本内の核分裂指数は,平均1.24を示していた。HE染色標本内の核分裂指数とPHH3発現の比較では,肉様成分,癌腫成分ともに増加を示していた。さらにPHH3に比してKi-67発現はいずれも有意に増加し,比較的良好な相関を示していた。子宮体部原発間葉系腫瘍のうちLS,CSを用いたPHH3の発現は,Ki-67発現と良好な相関を示し,形態的にみたMFsを的確に指摘することから核分裂像と核粉砕像を見分ける有用なマーカーであることが示唆された。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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