医学検査
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技術論文
Direct fast scarlet 4BS染色液調整法の検討
松本 祐弥今田 浩生星野 真紀子芳賀 美子福嶋 敬宜
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2015 年 64 巻 4 号 p. 468-474

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抄録

Direct fast scarlet 4BS(以下,DFS)はアミロイド物質を特異的に染色するが,時としてアミロイドの染色不良や膠原線維への共染を経験する。これらの予防策として,塩を添加することによる染色液の調整法がこれまでいくつか報告されている。本検討では塩の種類・組み合わせに焦点を当て,DFS染色液調整法の検討を行った。DFS染色液に塩化ナトリウム,炭酸ナトリウム,硫酸ナトリウムの3種類の塩をそれぞれ添加した。さらに,これらの塩から任意の2種類を組み合わせて添加したもの,塩を添加しないコントロールを含む計7系列の染色液を作製した。全身性アミロイドーシス(AA型)と診断された剖検例の肝臓パラフィンブロックの連続切片を作製し,各系列のDFS染色液で染色した。染色した切片に対して,(1)アミロイドの染色性,(2)膠原線維への共染の程度を評価した。染色性の評価は,目視に加え,色の差を数値化することが可能であるCIE 1976 L*a*b*色差式を採用し定量的な評価を試みた。結果として,アミロイドの染色性は塩の種類・有無による差は明らかではなかった。膠原線維への共染は炭酸ナトリウムを添加した染色液で染色した切片で抑制された。本検討結果よりDFS染色液への炭酸ナトリウムの添加は,アミロイドの染色性を維持しつつ共染を抑制する点で有用であることが示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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