医学検査
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技術論文
6種類のプラスミド性カルバペネマーゼ遺伝子スクリーニングを目的としたMultiplex PCR法の検討
坂梨 大輔宮﨑 成美鈴木 隆佳大野 智子山田 敦子末松 寛之山岸 由佳三鴨 廣繁
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2015 年 64 巻 4 号 p. 460-467

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抄録

近年,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の増加が大きな問題となっている。特に,カルバペネマーゼ産生菌は責任遺伝子がプラスミド上に存在し菌種を超えた伝播をきたすため注意が必要であるが,日常的に実施されている薬剤感受性試験ではカルバペネム系抗菌薬に感性の場合もあり存在が見落とされる危険性がある。本研究では,既報文献を参考に6種類のprimerを選択し,プラスミド性カルバペネマーゼ遺伝子,IMP,VIM,OXA-48-like,NDM,KPC,GESを1チューブで検出可能なMultiplex PCR法の確立を試みた。既存の3種類のPCR試薬について,IMP型5菌種5株,GES型1菌種1株,VIM型2菌種2株,NDM型1菌種2株,OXA-48-like型1菌種1株,KPC型1菌種2株の計9菌種13株のグラム陰性菌を用いた感度の検討および25菌種30株の上記遺伝子非保有グラム陰性桿菌を用いた特異度の検討を実施した結果,我々のmultiplex PCR法においてはPlatinum® Multiplex PCR Master Mix(Applied Biosystems)の使用が最適と考えられた。本法は上記6種類の遺伝子のスクリーニングが1チューブ内で可能であり効率的,経済的であった。また,DNA抽出から遺伝子確認まで3.5時間と迅速性にも優れており有用性が高いと考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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