医学検査
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技術論文
化学発光酵素免疫測定法試薬「ルミパルスHBsAg-HQ」の基本性能に関する検討
吉野 直美山田 依里圓田 兼三馬場 尚志飯沼 由嗣
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2016 年 65 巻 1 号 p. 91-97

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抄録

B型肝炎ウイルス(HBV)持続感染者への治療は大きく進歩しており,それに伴いHBV関連マーカーの意義も変化しつつある。HBs抗原は,HBVのエンベロープ蛋白であるが,従来の診断マーカーとしての定性検査に加え,近年HBs抗原量がB型肝炎治療の効果判定や予後予測における有用なマーカーとなることが報告され,その定量測定が臨床上重要となっている。今回我々は2013年9月に富士レビオ(株)から発売された化学発光酵素免疫測定法を原理とした高感度HBs抗原定量試薬「ルミパルスHBsAg-HQ」について,基本性能の評価とともに,従来のHBs抗原検査試薬である「ルミパルスII HBsAg」との比較検討を行った。その結果,ルミパルスHBsAg-HQは,同時再現性,日差再現性において良好な性能を示し,共存物質の影響も認められなかった。従来試薬との比較においては,判定一致率は98.6%(205/208)であった。不一致であった3件は,HBs抗原抑制試験の結果から,従来試薬の偽陰性2件,同じく偽陽性1件と考えられた。以上より,ルミパルスHBsAg-HQは十分な基本性能を持ち,従来試薬より正確かつ高感度にHBs抗原を検出可能なことが示唆され,B型肝炎治療の効果判定や予後予測,de novo B型肝炎対策に繋がる有用な情報を,臨床医に提供できる試薬と考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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