医学検査
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技術論文
全自動免疫測定装置HISCL-2000iによるHBs抗原測定の基礎的検討
山田 みゆき阿部 知世佐藤 直仁佐藤 智明森兼 啓太
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2016 年 65 巻 1 号 p. 98-102

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抄録

シスメックス社のHISCL-2000i(HISCLと略す)のHBs抗原測定に関する評価を,富士レビオ社のルミパルス プレストII(ルミパルスと略す)およびアボット ジャパン社のアーキテクトアナライザーi2000SR(アーキテクトと略す)の2機種と比較し,評価した。検討内容は,HISCLの基礎的検討,3機種でのマイクロフィブリンの影響,陽性検体の一致率,変異リコンビナント試料に対する反応性についである。HISCLの基礎的検討として同時再現性は1.4~5.8%,日差再現性は0.6~3.8%であった。最少検出感度は0.008 IU/mLであった。3機種を比較検討した結果ではマイクロフィブリンの影響は,ルミパルスで偽陽性の結果があったが,他2機種では影響がなかった。定量法のHISCLとアーキテクトの相関性は良好であったが,両機種の測定値に差が認められた。判定一致率はルミパルスで判定保留域の検体はHISCLおよびアーキテクトは陽性の結果であった。HBs抗原変異株の検出能はHISCL,アーキテクトは準備した試料全てを検出できたが,ルミパルスはD144-G145R変異株の検出ができなかった。以上の検討結果からHISCL分析装置と専用試薬であるHISCL-HBsAg試薬によるHBs抗原定量試薬は検査試薬として高感度であり,広範囲な測定範囲を持ち,変異株の検出においても良好な結果が得られた。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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