医学検査
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技術論文
尿中肝型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)測定試薬「ノルディア®L-FABP」の基礎的検討
佐竹 奏一石幡 哲也二本栁 洋志折笠 ひろみ小熊 悠子山本 肇高田 直樹齋藤 市弘
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2016 年 65 巻 3 号 p. 298-303

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抄録
L-FABPはヒトの近位尿細管上皮細胞の細胞質に発現している14 kDaの低分子蛋白である。尿細管へのストレス(高血糖・蛋白・虚血など)が生じると発現が亢進し,尿中へ排泄される。そのため,尿中L-FABPの測定は尿細管障害を伴う腎疾患の早期診断に有用であるとされている。今回我々は,ラテックス凝集比濁法を原理とする尿中L-FABP測定試薬「ノルディア®L-FABP」の基礎的検討を行った。その結果,同時再現性CV 1.3~2.2%,日差再現性CV 1.2~3.9%,希釈直線性210 ng/mL,検出限界1.2 ng/mLと先行研究と同等の結果が得られた。また,既存の測定法と比較し十分な試薬性能を有していることも確認でき,相関においても回帰式y = 1.12x + 0.53,相関係数0.976と良好な結果が得られた。しかし,アスコルビン酸の存在により測定値に濃度依存的に影響を及ぼし得るという結果が得られた。本試薬は汎用自動分析装置に搭載可能であるため簡便性に優れ,院内導入することにより迅速に結果を報告することが可能となる。さらに,種々の腎疾患の早期発見や治療効果の判定に有用であるという点からも院内測定の意義は高いと考えられる。
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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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