医学検査
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技術講座
全自動輸血検査システムORTHO VISIONTM Analyzerの基礎的性能評価―自動検査システムの有用性と限界―
加藤 千秋渡邊 友美遠藤 比呂子前田 奈弥武村 和哉松本 祐之松下 正
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2016 年 65 巻 4 号 p. 472-481

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抄録

全自動輸血検査システムは,分注ミスや,凝集判定における個人差などの問題が解決可能である。今回,我々は全自動輸血検査システムORTHO VISIONTM Analyzer(以下,VISION)の基本的性能を評価したので報告する。血液型,不規則抗体スクリーニングの相関はVISIONとORTHO AutoVue® Innova System(以下,Innova)で行い,共存物質の影響,交差適合試験,赤血球試薬の安定性,室温の影響については,VISIONを使用し検討した。血液型は99%で一致し,1例のみウラ検査で不一致となった。不規則抗体検出率は,Innovaの64%(50/78)に比較しVISIONは72%(56/78)と優れていた。同時再現性はすべて1グレードの範囲内であった。ヘモグロビン3.7 mg/dL以上ではFicin法でコントラスト異常となった。総グロブリン量が3,600 mg/dL以上で,非特異反応を認める場合があった。LISS-IATにおける交差適合試験は,臨床的意義のある抗体に対し,対応抗原陰性血のみが適合した。赤血球試薬をVISIONで保存した場合,8日目まで使用可能であった(Dia抗原)。低い室温はインキュベーション時と遠心時に影響し,冷式抗体の検出率を高くした。VISIONは,基本的な輸血検査を安全・正確に感度よく実施可能であった。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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