臨床検査は患者の病態把握,診断,治療の為に行われるものであり,その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し,患者により近いところで専門的能力を発揮することが求められている。その状況を踏まえて,日本臨床衛生検査技師会より協力依頼のあった「病棟における検査関連業務の実検証」にて,病棟へ臨床検査技師を配置した場合における効果を検討した。調査実施にあたり,医師・看護師の不足から叫ばれるチーム医療の重要性等から臨床検査技師の病棟業務への進出について,施設長に対し調査協力を上申し承認を得た。調査における病棟,業務量実態調査対象者,業務内容の選定を経て,実検証事前トレーニングの後,業務量実態調査およびアンケート調査を行った。調査の結果,病棟における臨床検査技師の業務内容としては,通常勤務時間で「患者情報管理」が全体の約2割を占めており平均91.3分,次いで「心電図検査」で平均74.8分となった。すべての業務を累積した時間は,6時間24.1分となった。アンケート結果では,医師及び看護師の実検証の前後で,臨床検査技師のカンファレンス,チーム,教室,委員会参加に対する期待感として,「臨床検査関連のインシデントが減少すると思われる」で臨床検査技師配置後に評価の有意差を認めた。患者アンケートでは目的・方法・結果・結果解釈への要望が高いことより,患者は自らの病態に関心が高いことが示唆された。専門性をもって臨床検査技師が病棟業務を行うことで,医療ニーズに貢献できると推察される。