医学検査
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66 巻, 4 号
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総説
  • 板橋 匠美, 深澤 恵治, 柿島 博志, 丸田 秀夫, 横地 常広
    原稿種別: 総説
    2017 年 66 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査技術の進歩はめざましいものがある。特にIT技術の進歩により現在でも数多くの新しい臨床検査項目の拡大がなされている。さらに,医師や看護師等の病棟スタッフは安心安全を求める現在の医療体制から多忙な状況であり,日々進化する臨床検査に対応できず,臨床検査領域については臨床検査の専門家に任せたいとする要望が多い現状がある。この状況を背景に厚生労働省では平成19年から,各医療機関の実情に応じた適切な役割分担を推進するよう周知すると共に,日本の実情に即した医療スタッフの協働・連携の在り方等をとりまとめた平成22年4月30日付けの厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」を提言した。これを受けて日本臨床衛生検査技師会(以下日臨技)では,病院の臨床検査室で検体を待ち,結果だけを返すという受動的臨床検査技師から,患者の居る場所に出向き,患者に寄り添い医療の一端を担うことのできる能動的な臨床検査技師への新生を目指し,現在まで様々な取り組みを行ってきた。本稿ではこれまでの日臨技としての取り組みを紹介するとともに,臨床検査技師の方向性について論じてみたい。

資料
  • 板橋 匠美, 深澤 恵治, 柿島 博志, 吉田 功, 丸田 秀夫, 横地 常広
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 332-338
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査(検体検査)の工程は大きく分けて検査前工程,検査工程,検査後工程の3フェーズに区分される。臨床検査は患者の病態把握・診断・治療の為に行うことが基本であり,その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し,患者により近い位置で専門的能力を発揮することが求められる。日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)では,そのあり方に検査前後を含めて一貫して取り組む姿勢を示し,職域拡大を推進してきた。今後,様々な装置の開発によりPOCT等による患者の側での検査の導入も行われ,検査工程が「病棟」で実施される機会も増えることが予想される。「病棟」での検査前後の工程は医師,看護師に依存している部分が多くみられるが,本調査では病棟業務推進施設における病棟業務実施状況を把握し,臨床検査技師の職域拡大に直面する課題を明確なものとしたので報告する。

  • 直田 健太郎, 板橋 匠美, 柿島 博志, 渡辺 真世, 深澤 恵治, 丸田 秀夫, 横地 常広
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 339-347
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査は患者の病態把握,診断,治療の為に行われるものであり,その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し,患者により近いところで専門的能力を発揮することが求められている。その状況を踏まえて,日本臨床衛生検査技師会より協力依頼のあった「病棟における検査関連業務の実検証」にて,病棟へ臨床検査技師を配置した場合における効果を検討した。調査実施にあたり,医師・看護師の不足から叫ばれるチーム医療の重要性等から臨床検査技師の病棟業務への進出について,施設長に対し調査協力を上申し承認を得た。調査における病棟,業務量実態調査対象者,業務内容の選定を経て,実検証事前トレーニングの後,業務量実態調査およびアンケート調査を行った。調査の結果,病棟における臨床検査技師の業務内容としては,通常勤務時間で「患者情報管理」が全体の約2割を占めており平均91.3分,次いで「心電図検査」で平均74.8分となった。すべての業務を累積した時間は,6時間24.1分となった。アンケート結果では,医師及び看護師の実検証の前後で,臨床検査技師のカンファレンス,チーム,教室,委員会参加に対する期待感として,「臨床検査関連のインシデントが減少すると思われる」で臨床検査技師配置後に評価の有意差を認めた。患者アンケートでは目的・方法・結果・結果解釈への要望が高いことより,患者は自らの病態に関心が高いことが示唆された。専門性をもって臨床検査技師が病棟業務を行うことで,医療ニーズに貢献できると推察される。

  • 吉田 功, 板橋 匠美, 柿島 博志, 杉岡 結衣, 深澤 恵治, 丸田 秀夫, 横地 常広
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 348-356
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査は患者の病態把握・診断・治療のために行われるものであり,その業務を担う臨床検査技師は医師・看護師やその他の医療職と連携し,患者により近いところで専門的能力を発揮することが求められている。その状況を踏まえて,日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)より協力依頼を受けた病棟における検査関連業務の実検証を行い,病棟へ臨床検査技師を配置した場合における効果を検討した。本検証にあたり検査部門内でのスタッフへの説明を行い同意を得たのち,日臨技役員とともに施設長・総看護部長・事務長へ説明し,承認を得た。調査の病棟,業務量実態調査対象者,業務内容の選定を経て,実検証事前トレーニングの後,業務量実態調査およびアンケート調査を行った。病棟における臨床検査技師の業務内容としては,「患者情報管理」で1日の業務全体の約2割を占め平均68.0分,次いで,「検体採取(採血業務を含む)」で平均54.2分となった。すべての業務を累積した時間は,5時間11.9分となった。アンケート結果より,実検証の前後で検査関連業務に対する看護師の負担感は,大きく解消される結果となった。また臨床検査技師に期待する病棟業務は,心電図測定,採血業務が最も多く,次いで各検査の説明と血糖測定が多かった。患者からは検査に関する何らかの説明を望んでいることが判った。専門性をもって臨床検査技師が病棟業務を行うことで,医療ニーズに貢献できると推察される。

  • 佐藤 さなえ
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 357-363
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査技師を含むチーム医療の推進が行われているなか,臨床検査技師の病棟配置や業務拡大においては様々な課題がある。小規模検査室で業務拡大を進めるためには他部門との連携が重要であると考える。しかしかつての検査室は閉鎖的な空間で,声をかけにくい独特の雰囲気で他部門からの印象は決して良くはなかったと推察される。検査室の業務拡大のためにはまず「検査室は声をかけにくい雰囲気」という良くない印象を変えることが必要であると考えた。その手段として積極的な声掛けによりコミュニケーションを増やし,自主的にできる業務を取り入れ,そして要望は断らない,などの行動を重ねていくことで「なんでも親切に対応してくれる検査室」へと変化していった。細やかな気遣いや創意工夫,日々の小さな努力の積み重ねから決して良くはなかった検査室の印象は改善していき,徐々に看護部からの信頼,Dr.とのパイプ,上層部からの信用を獲得し,検査室の業務拡大につなげることができた。

  • 中根 生弥, 高嶋 幹代, 青山 敦子
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 364-368
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    平成27年4月に施行された「改正臨床検査技師法」に早期対応することで臨床検査技師が外来診療で活躍できる場面を目指し,「鼻腔・咽頭」からの検体採取を開始した。実現に向け事前に病院各種委員会での情報提供と資格取得に向けた啓発活動ならびに臨床検査技師への具体的な技術習得研修を行った。また病院事業目標の一つに掲げられたことで,検査部門全体の目標が明確となり,初年度で45名全員が資格取得した。感染対策委員会と施設課の協力を仰ぎ「感染待合」を設置し,さらに「採取ポイント」のリーフレットを作成して改善を図った。外来患者での検体採取は,改正臨床検査技師法によって臨床検査技師の活躍(検査待ち時間の短縮・採取綿棒間違い低減・非感染患者さんへの配慮・再採取の迅速な判断など)を病院職員に認識させ,ひいては患者への安心・安全な医療提供に繋げる絶好の機会となった。

  • 渡辺 友子, 鎌田 真由美, 渡邉 桃子, 鈴木 克弥, 若山 正隆
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 369-374
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    厚生労働省指定講習会を受講し修了証を交付された臨床検査技師は,一部の検体採取が可能となった。それに伴い当院においてインフルエンザ流行期に検体採取とインフルエンザ迅速検査の実施および陽性者に対し,生活上の注意点の説明等を行う業務拡大を図った。また看護師,診療補助を行っている事務職員にアンケート調査し,臨床検査技師による検体採取についての評価を行った。医師は医局会にて直接意見を聞いた。その結果,この業務拡大については「良かった」とする回答が97%であり高い評価を得た。これまで煩雑だった外来診療の運用を改善し,臨床検査技師による検体採取への業務拡大を行うことで,新たな外来診療の体制を作った。それにより外来待ち時間の短縮や,患者とのコミュニケーションや信頼関係の構築に繋がり,臨床検査技師が検体採取を行うことにより質の高い医療の提供を可能とした。

  • 櫛󠄀桁 久美, 山内 純, 根本 博彦, 田中 春美
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 375-380
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    2015年4月1日から臨床検査技師等に関する法律施行令等の検体採取における改正が施行されることとなった。当院では2001年にインフルエンザ抗原迅速検出キットが導入されてから,検体採取や検査に関連する発熱時間,インフルエンザワクチン接種の影響や咽頭,鼻腔ぬぐい検体,鼻腔吸引検体などが検査結果に及ぼす影響,検体の正しいとり方,保管方法,感染対策等の知識を院内に発信し能動的に検体採取に関与してきた。また検体採取時の患者の心理状態を理解し,配慮のある患者接遇のための実践教育を施行している。検体採取時に患者と向き合い病態を把握することで主治医と価値の共有化や迅速な検査結果を導くことが可能となり,医師・看護師の業務負担軽減にも寄与できた。検体採取から検査までを一貫して行うことで適切な検体採取と迅速な検査結果報告が可能となり質の良い治療の提供につながった。何よりも課内スタッフの患者対応への意識変革となっている。

  • 本田 和恵, 太田 由香里
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    2014年6月の臨床検査技師等に関する法律の一部改正法案成立に伴い,臨床検査技師が検体採取を行うことが可能となった。当院では,医師の指導のもと看護部と協力し一部の検体採取を実施している。本稿では,主にノロウイルス検査のための便(直腸便)採取について現状を報告する。検体採取を行う上で臨床検査技師側の利点も多く,患者への質の高い医療提供へと繋がっていると考えられる。臨床検査技師が検査室を離れ,検体採取や病棟および外来へ業務拡大することにより,他の職種にも多くの利点をもたらした。また,少人数の検査室では,多職種と協働・連携することが検査室運営の観点からも重要である。

  • 本田 昌樹, 津嶋 里奈, 齋藤 浩治
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 387-391
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    安全かつ適正な輸血療法を実践するためには,輸血部門と臨床側の協力体制が重要である。当院では2005年6月より輸血の際,臨床検査技師が病棟等への輸血用血液製剤の搬送を行い,看護師と一緒に輸血受領時の読み合わせ確認,患者確認,電子認証,輸血開始後5分間の患者観察を行う,ベッドサイド業務を開始した。臨床検査技師による病棟業務の成果として,輸血実施手順の遵守,血液製剤の放置や不適切な保管防止,患者認証忘れの防止,副作用出現時の迅速な対応などの効果があった。また医師と患者の状況を共有することができ,適正使用に関するコンサルテーションを行いやすい環境作りができる。臨床検査技師にとってベッドサイド業務は,輸血療法全体の流れを知るよい機会である。輸血検査だけでなく,輸血療法全体の問題点に気付き,院内マニュアルの整備や業務の見直しを行うことで,安全かつ適正な輸血療法体制を構築することができる。患者中心の輸血療法を行う上で,臨床検査技師がベッドサイドに立ち会い,医師,看護師,コメディカルに,輸血に関するコンサルテーションを行うことは患者の利益に繋がる。

  • 森 さゆり, 北野 紘美, 末松 エリカ
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 392-397
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    平成27年4月から「血液透析療法患者に医師が十分な時間をかけて検査結果の説明・相談が出来ないことへの患者の不満や不安を改善すること」を目的に,臨床検査技師による血液透析療法患者への検査説明・相談が開始され,その取り組みについて血液浄化センターチームからの評価を得た。「臨床検査技師の検査説明・相談は透析スタッフの業務削減・効率化に役立っているか」「臨床検査技師の検査説明・相談は血液透析療法患者の自己管理に有用か」のアンケートに対し8割以上に「はい」の回答があった。しかし,「臨床検査技師の検査説明・相談の際に不足していると感じるスキルはあるか」については,「コミュニケーション」「伝達報告など情報共有」「カルテ記載方法」「血液透析療法の知識」などが指摘された。これらの課題がある中で,8割以上が臨床検査技師の検査説明・相談の継続を希望していた。血液浄化センターでの臨床検査技師の検査説明・相談の取り組みは,血液浄化センタースタッフの業務削減・効率化に有用であり,さらに血液浄化センターチームとして患者自身の振り返りによる自己管理意識の向上に役立っていると評価された。しかし,チーム医療の中で求められる患者心理や病態など,患者に関わる知識やカルテ記載などの情報共有,さらに患者・他職種とのコミュニケーションスキルの習得が求められていることがわかった。

  • 田中 雅也, 實原 正明, 関島 康弘, 津金 雅之, 丸山 紘明
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 398-403
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    病棟常駐化を目的に,現在病棟で実施している様々な業務の見直しを図った。病棟業務の需要と必要性を問うために看護部を初めとする医療従事者および検査科職員に向けアンケートを実施したところ,検査技師の病棟業務に全師長が賛成し,まずは時間常駐での協力要請があった。病棟業務を遂行するうえで,専門性が発揮できる業務が職員の理解とモチベーションに繋がり,それらを率先し実践することとした。今回われわれは,透析病棟において新たに血管超音波検査を開始した。検査業務のみならず,チームの一員として円滑に業務が遂行できるよう,VA管理基準,フローチャートの作成,報告様式の見直し,スタッフへの教育に取り組み一定の評価を得たので報告する。

  • 前田 富士子, 和泉 智, 中西 秀紀, 高田 茂和, 山中 保代, 庄司 繁市, 山川 智之
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 404-410
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    医療安全対策委員会のIAレポート(incident accident report)の集計分析と検査技術科の年度安全目標からの業務改善の取り組み,ポジティブレポート(positive report)を紹介する。検査技術科での3年間のIAレポートと,病棟・外来・透析室での2年間の検査に係るIAレポートを集計分析した。科内ではIAレポートの問題点を情報共有し,業務改善に導くことができた。他部署での検査に係わる報告からは,臨床検査技師が病棟・外来・透析室で,検査の指示受け・採血管の準備・採血業務・検査説明などを行うことが,IAを未然に防ぐ可能性が示唆された。年度安全目標は業務改善の達成度を自己評価し,次年度の課題を見いだせた。ポジティブレポートはIAレポートの増加と安全に関わる他部署との連携につながる良いシステムと思われる。医療安全の継続と発展のためには,IAレポートを報告しやすい環境作り,自部署・他部署を問わず情報共有と状況改善の協同,レポートの集計分析から課題を導き,他部署(病棟・外来・透析室)とともに業務改善につなげることが重要である。

  • 新屋敷 紀美代, 眞部 三容子, 本田 勝美, 藤田 利香
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 411-416
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    昨今,多くの職種がチーム医療体系を築き,外来や病棟で患者への対応に携わっている。それぞれの職場で,新事業の導入や一時休暇,退職などの理由で人材確保が困難になっていることがある。当院でも看護師不足が問題となり,不足現場へのサポートが検討された。その結果,検査技師にも要請があり,検査科において何ができるのかを検討した。実際に病院業務サポートを考慮すると,様々な問題点が浮き彫りになった。これらの点を改善・工夫する機会を得たことで,より良い病院業務体制を構築するきっかけとなった。

  • 星 勇喜, 五十嵐 茉美, 本名 拓哉, 高橋 英紀, 小林 祥子, 齋藤 麻依子, 佐藤 雅彦, 齋藤 市弘
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 417-422
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    現在,日本臨床衛生検査技師会では病棟検査技師を始めとしたチーム医療への参画を活動の主軸としている。今回,我々臨床検査技師がチーム医療の一員として肺塞栓症予防プロジェクトにおけるマニュアル改訂に専門的立場から携わった。当院では平成24年12月に肺塞栓症予防マニュアルを作成したが,下肢静脈血栓症(deep vein thrombosis; DVT)のスクリーニング検査実施の有無に関しては主治医の判断に委ねられていた。そこで臨床検査科と医療安全管理室が連携し平成25年6月よりマニュアル改訂を目指し活動を開始した。我々は①検査体制の整備,②院内下肢静脈エコー検査実施基準の作成(診療科別),③院内静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism; VTE)リスク評価表の作成(全科統一),④リハビリテーション部との連携(離床遅延を予防する取り組み)について取り組み,平成28年1月に下肢静脈実施基準,VTEリスト評価表を追記し周術期肺塞栓予防マニュアルを改訂するに至った。肺塞栓症の防止には各部門間の連携が不可欠であり,実施基準及びVTEリスト評価表を統一することで周術期肺塞栓予防に関する取り組みを実践できた。病院全体を巻き込んだ本取り組みは協働性の創生,医療安全の向上など医療の質向上に寄与し得る重要な役割を担った。

  • 高橋 嘉明, 村上 舞, 森川 由佳里, 田代 雄大, 高橋 裕美, 白石 万喜, 小林 由香
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 423-427
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    近年,病棟に出向いて実施している具体的な臨床検査技師の業務項目として,生理学的検査,検体採取,各検査の説明,ICT・NST活動への参画などを行い,患者中心のチーム医療へシフトし始めている。こうした動向を受け,当院の臨床検査科では病棟業務,特に病棟採血を積極的に実施している。臨床検査技師が全病棟のナースステーションに赴き,検査指示回収から採血,結果報告までを一括して担当しており,患者の病態の把握,診断・治療の迅速化をもたらし,治療の質の改善につながっている。

  • 山田 幸司, 塩谷 里実, 古井 清, 舟橋 こずえ, 北川 訓子, 山口 悦子, 河合 浩樹
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 428-434
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    へき地医療拠点病院の当院は医師,看護師不足に加え,高齢かつ認知症を患う介護度の高い患者が多い。これはまさしく日本医療が抱える最大の問題に直面しているともいえよう。限られた資源,財源の中でセクショナリズムの壁を取り払い,チームとして医師,看護師を支援し患者に最善の医療が提供できる環境を構築するために「検査科看護部ワーキング」を立ち上げ,病棟検査技師として新たな診療支援(業務拡大)に取り組んだ。

  • 前田 岳宏, 井手 大輔, 福島 靖幸, 中野 勝彦, 川野 亜美, 椿本 祐子, 金光 靖, 前川 清
    原稿種別: 資料
    2017 年 66 巻 4 号 p. 435-438
    発行日: 2017/07/25
    公開日: 2017/07/29
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    臨床検査技師による様々なチーム医療への参画が試みられ,当院においてもICT・NSTなどに臨床検査技師が参画している。輸血・細胞治療センターでは輸血専任技師(以下,専任技師)が2011年7月より中央手術部検査室への常駐を開始し,手術時使用予定の輸血製剤の管理,血漿分画製剤の管理,血液専用保冷庫の管理,大量輸血時の介入をしている。2013年8月より臨床的意義のある不規則抗体検出患者への説明を開始し,主治医が専任技師による患者への説明を希望した場合,専任技師が直接患者へ説明を行い,『輸血時の注意カード』を手渡している。2015年4月より,医師・看護師の業務負担軽減および臨床検査技師の業務拡大をさらなる目標とし,血液内科病棟への常駐支援を開始した。

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