医学検査
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技術論文
AQT90FLEXを用いたプロカルシトニン測定試薬の基礎的検討
前原 純秋田 豊和
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2018 年 67 巻 2 号 p. 217-220

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抄録

当院では現在,プロカルシトニン(procalcitonin;PCT)の測定にイムノクロマト法を用いているが,テストラインの色調の判定が3段階と煩雑で,個人差が生じやすくなっている一方,この判定を標準化することは困難と考えていた。また月検体数が100検体未満の当施設から考えると,専用の免疫分析装置を導入するにはコストがかかりすぎるため,断念していたのが現状である。今回,測定が簡便で,かつ定量測定ができるAQT90FLEXを検討する機会を得たため,基礎的検討を行った。結果は,同時再現性のCVは3.1~6.3%,日差再現性のCVは2.5~5.2%で,イムノクロマト法との一致率は88.0%であったが,不一致例は目視判定の個人差に依存するものと考えられた。また血液培養との一致率は75.0%で,PCT値が高いと血液培養の陽性率も高くなる傾向であった。AQT90FLEXによるPCT測定は,個人差の生じないかつ定量測定ができ,オンライン運用することも可能なため,入力間違いなどのヒューマンエラー防止も期待できる。また検査依頼件数が少ない施設でも,試薬の無駄がなく測定できることから,検査室の収益にも貢献できると考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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