医学検査
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一般社団法人福岡県臨床衛生検査技師会筑豊地区内における外部精度管理の取り組み
吉田 重人山中 宏晃吉田 真紀浦園 真司長谷 一憲桑岡 勲
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2019 年 68 巻 3 号 p. 545-552

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Abstract

一般社団法人福岡県臨床衛生検査技師会(以下,福臨技)筑豊地区における検査の質向上に関する事業の一つとして,L-スイトロールサーベイに参加した筑豊地区内13施設で外部精度管理を実施した。結果の見方・評価の仕方について理解を深めること,各施設の問題点の洗い出し及びそれに対する原因追究・対策を考えることで外部精度管理に対する意識の向上を目的とした。この事業を継続していく方向性・施設間差是正活動の展開とその成果について報告する。筑豊地区内で解析メンバーを募り,生化学27項目2濃度についての解析を行い,各項目を±2SDIで評価した。対象27項目において筑豊地区内でのCV%は5%以内であった。参加した13施設のうち達成率の低かった1施設においては,訪問介入をし,試薬・管理血清の管理の仕方,キャリブレーションのタイミング,内部精度管理についての対策を立て,実施した。再度訪問を行い,スイトロールI・IIを測定。メーカー推奨の範囲を外れた項目に関してキャリブレーション・再測定を行った。訪問前では達成率61.5%,再訪問時のキャリブレーション前では82.5%,キャリブレーション後で90%以上となり,キャリブレーションの頻度・管理を徹底することで改善は可能であることが示唆された。施設相互の比較による評価だけに留まらず,検査施設訪問介入をしたことが有効な手段だった。

Translated Abstract

As part of a project of the Fukuoka Association of Medical Technologists in the Chikuho region to improve the quality of tests, 13 facilities in the Chikuho region, which participated in the L-Switroll Survey, were subjected to external qualitiy control. The purpose of this study was to raise the awareness of medical technologists regarding external qualitiy control by deepening their understanding of external quality control from how to view the results and the method of evaluating the results, identifying problems in each facility, and considering the cause of each problems and countermeasures. In this paper, we reports the developments and the results of the activities for correcting the difference among facilities and the direction of continuing this study. The members analyzed were recruited in the Chikuho region, and the concentrations of 27 biochemical items were analyzed twice, and each item was evaluated with ±2SDI. CV% in 13 laboratories was within 5% for the 27 biochemical items. We visited one of the 13 laboratories, where the accuracy rate was low, and developed and implemented measures for the management of reagents and control sera, timing of calibration, and internal quality control. We visited it again to carry out Switroll I and II surveys. Calibration and remeasurement were performed for items whose concentrations were outside the manufacturer’s recommended range. The accuracy rates were 61.5% before the visit, 82.5% before the re-visit calibration, and higher than 90% after the calibration. These results suggested that improvement can be achieved by thoroughly controlling calibration frequency and the number of times. It was effective not only for medical technologists in a laboratory to evaluate each other but also for the regional associations to intervene by visiting laboratories.

I  はじめに

昨今の医療情勢は少子・高齢化が進む中,2025年問題に向けて患者ニーズに応じた病院・病床の役割分担や医療機関間の連携強化を通じ,地域に密着した病床での対応が求められている。医療・介護の提供体制の整備から地域包括ケアシステムによる患者を地域で支える地域完結型の医療へと展開されている。

一般社団法人福岡県臨床衛生検査技師会(以下,福臨技)筑豊地区は事業計画の一つとして検査の質向上を目的とした外部精度管理を実施することとした。

臨床検査の標準化は日本医師会,日本臨床衛生検査技師会など全国規模で実施されている調査から各地域でも県単位で進められている1)。この標準化は医療連携の進展に伴い,繰り返し検査による無駄を省く為に臨床検査値の統一化を推進するものである。福臨技においても月例サーベイを1993年2月から行っている2)。その参加施設数は直近3年間,170施設前後で推移している3)

標準化が進展する一方,外部精度管理評価で得られる情報は多彩であり,若手教育においてこの情報解釈に難しい場面も多くある。今回,外部精度管理結果の見方・評価の仕方についての理解を深め,また各施設の問題点の洗い出し及びそれに対する原因追究・対策を考えることで外部精度管理に対する意識の向上を目的として,L-スイトロールサーベイの測定及び結果解析を自ら行った。今後,この事業を継続していく方向性を見出し,施設間差是正活動の展開とその成果について述べる。

II  方法

1. 筑豊地区参加施設状況

福臨技筑豊地区の会員総数は約250名,20~30代の該当する若手の会員数は100名前後である4)。施設数は約50施設であり今回の取り組みにおいて参加した施設は13施設。解析メンバーを募り,5施設から8名にて解析を行った。

2. 試料と調査項目および結果解析・評価方法

試料はL-スイトロールサーベイ試料を用い2濃度を測定した。検査項目は生化学27項目(AST,ALT,ALP,γ-GT,LD,CK,アミラーゼ(amylase; AMY),ChE,総コレステロール(T-CHO),中性脂肪(triglyceride; TG),HDL-C,LDL-C,グルコース(GLU),尿酸(uric acid; UA),尿素窒素(urea nitrogen; UN),クレアチニン(creatinine; CRE),総蛋白(total protein; TP),アルブミン(albumin; ALB),CRP,カルシウム(Ca),無機リン(inorganic phosphorus; IP),ナトリウム(Na),カリウム(K),クロール(Cl),鉄(Fe),総ビリルビン(T-Bil),直接ビリルビン(D-Bil))とした。

解析方法は各解析メンバーにてL-スイトロールサーベイ全体と筑豊地区の平均値,標準偏差,CV%を算出し,評価については±2SDI(standard deviation index)を筑豊地区の参加施設で行った。また,筑豊地区における測定方法別及び試薬メーカー施設数の算出,2濃度の試料からツインプロット図を作成し誤差要因を追究した。

III  結果

1. L-スイトロールサーベイと筑豊地区のCV%の比較

対象27項目についてL-スイトロールサーベイ全体と筑豊地区内とのCV%の比較をTable 1に示す。AST,ALT,γ-GT,LD,ChE,ALP,AMY,CK,UA,UN,CRE,Na,K,Cl,IP,Fe,TP,ALB,CRP,T-CHO,TGの21項目は2濃度共にCV5%以下だった。

Table 1  Evaluation of the L-Switroll Survey and participating facilities in the Chikuho area
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(g/dL) SD(g/dL) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
TP 1 全体 510 6.11 0.09 0.16
筑豊 13 6.12 0.12
2 全体 508 8.42 0.12 −0.36
筑豊 13 8.39 0.19
ALB 1 全体 509 3.87 0.07 −0.52
筑豊 13 3.85 0.10
2 全体 505 5.34 0.10 −0.37
筑豊 13 5.32 0.09
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(mg/dL) SD(mg/dL) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
BUN 1 全体 509 16.1 0.38 −0.93
筑豊 13 16.0 0.46
2 全体 506 49.5 1.02 −0.79
筑豊 13 49.2 1.56
CRE 1 全体 500 0.98 0.04 2.04
筑豊 13 1.00 0.03
2 全体 512 5.84 0.09 1.03
筑豊 13 5.90 0.09
GLU 1 全体 494 96.8 1.40 0.10
筑豊 13 96.9 1.00
2 全体 497 301.5 3.70 0.33
筑豊 13 302.5 3.30
UA 1 全体 506 3.68 0.06 0.82
筑豊 13 3.71 0.06
2 全体 509 9.79 0.13 0.00
筑豊 13 9.79 0.11
Ca 1 全体 499 9.36 0.17 0.21
筑豊 12 9.38 0.23
2 全体 495 13.75 0.24 0.44
筑豊 12 13.81 0.24
IP 1 全体 442 3.43 0.08 −0.29
筑豊 9 3.42 0.10
2 全体 441 8.74 0.16 −2.29
筑豊 9 8.54 0.38
CRP 1 全体 506 1.22 0.04 −0.82
筑豊 13 1.21 0.08
2 全体 504 4.04 0.11 −1.98
筑豊 13 3.96 0.21
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(mg/dL) SD(mg/dL) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
T-Bil 1 全体 514 0.58 0.09 8.62
筑豊 13 0.63 0.10
2 全体 512 2.43 0.15 2.88
筑豊 13 2.50 0.10
D-Bil 1 全体 132 0.26 0.12 15.38
筑豊 12 0.30 0.10
2 全体 133 0.82 0.38 21.95
筑豊 12 1.00 0.60
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(μg/dL) SD(μg/dL) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
Fe 1 全体 442 126.3 2.45 0.32
筑豊 11 126.7 2.37
2 全体 439 204.0 4.11 0.39
筑豊 11 204.8 4.92
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(mg/dL) SD(mg/dL) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
TG 1 全体 503 46.4 1.28 0.82
筑豊 13 46.8 1.48
2 全体 502 65.5 1.65 0.64
筑豊 13 65.9 1.89
T-CHO 1 全体 503 130.2 2.16 0.35
筑豊 13 130.7 3.00
2 全体 502 181.8 2.73 0.08
筑豊 13 181.9 2.30
HDL 1 全体 504 42.2 2.97 −0.02
筑豊 13 42.2 3.40
2 全体 504 57.4 4.79 0.47
筑豊 13 57.7 5.50
LDL 1 全体 496 64.0 11.06 −5.58
筑豊 13 60.4 9.90
2 全体 497 92.0 13.32 −4.49
筑豊 13 87.9 12.10
Table 1  Continued.
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(U/L) SD(U/L) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
AST 1 全体 508 36.8 0.79 0.00
筑豊 13 36.8 0.90
2 全体 507 159.2 2.51 0.19
筑豊 13 159.5 3.13
ALT 1 全体 510 32.6 0.95 0.31
筑豊 13 32.7 0.85
2 全体 510 158.1 2.71 −0.44
筑豊 13 157.4 2.75
LD 1 全体 508 166.0 3.26 −0.96
筑豊 13 164.4 5.28
2 全体 508 410.0 7.20 −1.02
筑豊 13 405.8 11.31
γ-GT 1 全体 505 42.8 0.82 −0.30
筑豊 13 42.7 0.80
2 全体 508 128.2 1.90 0.04
筑豊 13 128.2 1.80
AMY 1 全体 495 118.2 2.23 −0.51
筑豊 13 117.6 1.90
2 全体 489 282.0 4.94 −0.89
筑豊 13 279.5 5.10
ALP 1 全体 509 204.7 4.56 −0.51
筑豊 13 203.7 4.00
2 全体 504 502.3 11.40 −0.66
筑豊 13 499.0 19.90
ChE 1 全体 470 292.3 4.37 0.30
筑豊 13 293.2 4.40
2 全体 470 407.1 6.22 0.36
筑豊 13 408.6 6.40
CK 1 全体 493 193.3 4.20 0.41
筑豊 13 194.1 4.10
2 全体 483 450.0 8.00 −0.02
筑豊 13 449.9 11.80
項目 試料 全体or筑豊 n 平均値(mmol/L) SD(mmol/L) 筑豊地区平均値のかたより[vs.全体平均値](%)※
Na 1 全体 514 139.7 0.96 −0.14
筑豊 12 139.5 0.79
2 全体 505 156.3 1.08 −0.13
筑豊 12 156.1 1.27
K 1 全体 512 4.46 0.04 0.00
筑豊 12 4.46 0.05
2 全体 505 6.35 0.06 0.00
筑豊 12 6.35 0.05
Cl 1 全体 514 100.5 1.84 0.10
筑豊 12 100.6 1.92
2 全体 510 117.7 1.97 0.25
筑豊 12 118.0 1.81

*スイトロールサーベイ全体は3SD除去後

※筑豊地区平均値のかたより=(筑豊地区平均値-全体平均値)/全体平均値×100(%)にて算出

2. 筑豊地区内の目標達成状況

各施設の達成率について,参加した13施設のうち1施設の達成率は61.5%。12施設は90%以上の達成率であった。

3. 筑豊地区内データ解析報告会

解析メンバーは担当項目(3~4項目)において報告・質疑応答の時間を合わせて10分の発表形式とした。参加者状況としては27名,9施設の参加だった。勉強会終了後,参加者にアンケートを実施し,19名から回収することができた。±2SDI外だった項目に対して是正処置を実施した施設数をFigure 1に示す。是正処置を行った施設にどのような是正を行ったかの問いには,「トレーサビリティの改善を試みたがコストの兼ね合い上,難しかった。」,「検量線作成後,管理血清にて中央値になった。」,「試薬,検量線をメーカーと確認中」と各々の施設で対応していた。また,今回,解析メンバーにもアンケートを実施した。半数の解析メンバーが解析に携わったことによりSDI評価の見方,考え方,範囲を超えた時の対処法を詳しく理解できたという回答を得ることができた。

Figure 1 Questionnaire survey after the L-Switroll Survey analysis result report meeting

We were able to collect the questionnaire of this project from 9 facilities in 13 facilities.

We show the number of institutions that have taken corrective action for items outside ±2 SDI.

IV  考察

筑豊地区とL-スイトロールサーベイ全体のCV%を比較する上で生理的変動に基づく許容誤差限界のBA%を使用した5)。各項目のBA%の比較結果をFigure 2に示す。筑豊地区内とサーベイ全体でCV%に差が出た項目を認めた。その項目はALP,IPで認め,この項目における測定原理別の割合を見ると以下の通りだった。ALPでは筑豊地区内の状況では13施設中13施設と全施設がJSCC標準化対応法だった。試料1と2を用いたツインプロット図において1施設が低値傾向の系統誤差を認め試料1のSDIは1.94,試料2のSDIは−2.81だった。この施設は後述する展開事業として訪問介入をした施設だが,試薬の管理,校正頻度が少ないことが影響していることが考えられた。内部精度管理実施の状況として数値のみの管理であり精度管理図を用いておらず,管理方法が十分ではなかった。IPにおいては酵素法5施設,モリブデン/蛋白を除去しない方法3施設,モリブデンUV法1施設であった。試料1と試料2を用いたツインプロット図においてモリブデンUV法を使用している施設に低値傾向の系統誤差を認め試料1のSDIは−2.29,試料2のSDIは−2.20だった。Figure 2で,T-Bil,D-BilのCV%が5%以上と大きかった。この2項目の平均値は他の項目と比較して小さいため,CV%が大きくなったと考えられる。またHDL,LDLのCV%について,それぞれHDLで約8%,LDLで約15%と筑豊地区,サーベイ全体ともにCV%が大きかった。ここでHDL,LDLに関して,試薬メーカー別での集計結果をFigure 3に示す。Figure 3より試薬メーカー別で集計し直したところCV%が小さくなったことから,HDL,LDLのCV%が大きかったことについては試薬メーカー間差であると考えられ,試料によるマトリックスの影響が示唆された。

Figure 2 Comparison of CV% of the Chikuho region, CV% of the whole of survey and BA%

In ordar to CV% of the Chikuho region and CV% of the whole of survey are valid, we compared CV% of the Chikuho region and CV% of the whole of survey with BA% of each item.

Figure 3 CV% comparison according to the reagent maker

Because of the large CV% of HDL and LDL, we considered the difference between reagent company, we compared Chikuho region and whole of survey CV% per reagent company with BA% of each item.

また,達成率が61.5%であった施設に関して,±2SDIを外れていた項目のほぼ全てで低値となる系統誤差を認めていた為,測定機器そのものや精度管理による誤差,試料の取り扱いによる誤差が考えられた。

解析メンバーのアンケート結果からはL-スイトロールサーベイの結果解析を通じて,自ら行うことにより分析手法である測定原理,試薬,機器の知識が広がり,トレーサビリティーの重要性,検査誤差による要因が試薬,キャリブレーター,機器のメンテナンス,サーベイ試料の取扱い,結果入力間違いと様々な要因が存在することを把握し,外部精度管理の理解が深まったことが大きな収穫であったと思われる。

V  展開事業

1. 介入目的

達成率が低かった施設で系統誤差を認めた。系統誤差より検量線の問題,機器の問題が考えられた。この施設に対して内部精度管理状況の確認をして,問題点の洗い出し・改善を目的に訪問介入を行った。

2. 介入方法

1ヶ月内の内部精度管理実施状況の確認,普段の試薬管理,機器立ち上げ,機器メンテナンス,標準物質の管理,管理血清の取扱いについて調査した。

3. 介入結果

介入前の状況として内部精度管理は実施しているものの精度管理図の作成は行っていなかった。試薬・標準物質・管理血清の管理においても適正な保存管理をされていた。また,任意の1ヶ月の内部精度管理を抽出して確認したが,CV%も5%以内であった。精度管理図が作成されていないことからどのような日差変動があるかは不明であった。調査結果より,今回行った介入ではキャリブレーションの頻度と内部精度管理の管理幅について対策を講じた。

介入2ヶ月後に再訪問を行い,状況確認をした。スイトロールI・II(日水製薬(株))を測定し,メーカー推奨の範囲を外れた項目に関してキャリブレーション・再測定を行った。キャリブレーション前では達成率82.5%,キャリブレーション後で90%以上となり,同試料を測定した他2施設と同等の測定値が得られた。このことより,キャリブレーションの頻度・管理を徹底することで改善は可能であることが示唆された。精度管理図の作成に関しては機器メーカー,検査システム会社にて対応していく方向に至った。

4. 展開事業のまとめ

内部精度管理に使用する管理試料の管理幅はメーカー推奨の範囲をそのまま用いていた。また精度管理図作成による日々の内部精度管理の評価は試薬,キャリブレーターのロット間差と安定性,管理試料の保存,検査室の環境など様々な因子によって変化する。そして,内部精度管理における管理幅の妥当性もある程度外部精度管理に反映される印象を受けた。

VI  結語

臨床検査の役割は極めて客観的な情報として診療に不可欠なものとなっている。標準化が進む一方で外部精度管理評価の情報を利用し,検査施設間による測定値の比較は測定値の真度と誤差を確認することにあるが,筑豊地区は施設が小規模,少数の臨床検査技師の体制であること,若手が多いことから教育・育成が課題であった。しかし,外部精度管理の測定から測定値の解析・報告まで経験することは誤差要因の追究から分析手法に関わる機器・試薬の把握,試料の取扱いによる影響,その後の是正と対策を考えるきっかけになったと思われる。

また,標準化の推進が継続されている中,医療情勢において地域完結型の展開になっている。今回実施した筑豊地区における検査の質向上を目的とした外部精度管理の事業は施設相互の比較による評価だけに留まらず,検査施設訪問介入をして,問題発見と解決を実施できたことが有効な手段だった。今後は福臨技が毎月実施している月例サーベイの測定値を用いて外部精度管理の結果解析を実施していく予定である。

 

本論文の要旨は第28回福岡県医学検査学会にて発表した。

筑豊地区外部精度管理解析メンバー(五十音順)

上田治輝(くらて病院)

鎌田彩菜(飯塚病院)

神祐貴男(田川市立病院)

半田沙希(嘉麻赤十字病院)

坂東周作(飯塚病院)

八木司文子(社会保険直方病院)

山﨑和也(飯塚病院)

山中宏晃(飯塚病院)

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

謝辞

本事業にあたり,ご協力下さいました日水製薬株式会社様に深謝致します。

文献
 
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