2020 年 69 巻 1 号 p. 112-116
80歳代,女性。38.6℃の発熱と酸素化低下があり,当院に救急搬送後入院となる。入院時の血液培養検査2セット4本中,好気ボトル1本が陽性となりGram陰性桿菌であった。同定は,生化学的同定法およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry; MALDI-TOF MS)を用いた質量分析計で検査したが不可であった。16S rRNA遺伝子解析を行いPaenibacillus viniと同定した。2015年に環境からの分離報告があるが1),ヒトからの報告は少なく,スペインで1999年から2015年にヒトと環境から分離されたPaenibacillus sp. 136株の分離報告で,P. viniは1株がヒトの血液から分離されていた2)。今回我々は,稀症例と思われたP. vini bacteremiaを経験したので報告する。