医学検査
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技術論文
フロントエンド分注装置IDS-CLAS3600を用いた自動搬送血液凝固検査システムの構築と運用
鈴木 敦夫菊地 良介安藤 善孝松下 正
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2020 年 69 巻 3 号 p. 353-359

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抄録

検体検査における自動搬送装置ならびに前処理装置は業務の効率化および省力化に極めて有用であるが,凝固検査の前処理プロセスに用いられることは稀である。今回,我々はフロントエンド分注装置IDS-CLAS3600(以下CLAS3600)を用いた自動搬送凝固検査システムの構築を行うため,その性能評価と処理条件の設定を行った。まず,残存血小板数を指標として遠心条件の検討を行った。その結果,2,600 gにて5分の遠心が最も短時間で血小板の混入が少ない条件であった。次に,CLAS3600による血餅検知・開栓・分注・搬出の処理のうち,血餅検知および分注プロセスについて評価を行った。血餅検知については実測値とほとんど差がなく計測されていた。また,分注における吸引降下点および吸引速度を検討したところ,吸引降下点では血餅の上端より5 mmから8 mmの間で分注後の血漿中残存血小板数に明らかな差はなく,また,吸引速度による変動も認められなかった。これらの検討結果より,吸引降下点を6 mm,吸引速度を血清比90%に設定した。設定した条件にて高血小板検体ならびに高ヘマトクリット検体の処理を行ったところ,血小板の混入は10 × 103/μL未満であった。本条件にて,CLAS3600を用いた搬送システムを構築し,約5年間の自動搬送凝固検査システムを運用した。これにより業務の効率化に大きく寄与できたと考える。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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