2020 年 69 巻 3 号 p. 424-431
沖縄県内の医療機関で分離されたStreptococcus agalactiae(GBS)の各種抗菌薬に対する薬剤感受性率およびペニシリン低感受性GBS(Group B Streptococci with reduced penicillin susceptibility: PRGBS)等,耐性株の分離率について調査を行った。対象は2014年から2016年までの3年間に各種臨床材料由来のGBS 10,870株とした。GBSのPCGの感受性率は2014年78.9%,2015年78.1%,2016年81.0%とJANIS(2014–2016年:93.1–94.3%)と比較して低く,沖縄県ではPRGBSの分離率が全国に比べて有意に高かった(p < 0.01)。特に,PRGBSは呼吸器系検体(2016年:56.3%)および60歳以上の高齢者から多く分離されていた(p < 0.01)。また,PRGBSの分離率には施設間差が認められた。PRGBSはセファロスポリン系抗菌薬やエリスロマイシン,レボフロキサシンなど複数の抗菌薬に耐性を示しており,2016年ではPRGBSの94.4%が多剤耐性を示した。沖縄県内の医療機関で分離されるGBSはペニシリンに対して低感受性を示し,PRGBSは多剤耐性傾向を示すことが本調査によって示された。今後は血清学的,遺伝子学的手法を用いたより詳細な解析が必要であると考える。