医学検査
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原著
VITROS XT7600による生化学検査項目の有用性評価―災害時の検査体制を想定したVITROS XT7600と汎用機器・試薬の互換性―
横山 覚松山 浩之菊地 良介度會 理佳金 貞姫鈴木 敦夫安藤 善孝松下 正
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2021 年 70 巻 2 号 p. 205-212

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抄録

我々は,災害時でもウォーターレスの運用が可能なVITROS XT7600(VITROS)による生化学検査項目の有用性を検証した。検討機器はVITROS,対照機器はLABOSPECT008(008)を使用した。測定試薬は,VITROS専用試薬のビトロスマイクロスライド(VITROSドライ)と008専用試薬(008ウェット)をVITROS 専用ボトルに入れ替え,オープンチャンネル(VITROSウェット)に搭載し使用した。対照試薬は,008ウェットを使用した。検証項目は,主要生化学検査項目とした。評価は,併行精度,日差再現性と測定法間での相関性を評価した。VITROSドライ26項目の併行精度と日差再現性はすべての項目で変動係数5%以下と良好であった。また,VITROSウェット19項目の併行精度も変動係数5%以下と良好であった。VITROSドライ法と008ウェット法における相関は26項目中20項目において相関係数(r)0.9900以上であった。VITROSウェット法と008ウェット法での相関性は評価した19項目で,相関係数(r)0.9945以上であった。VITROSドライ法ではAlbuminとAmylaseで008ウェット法との乖離例を認めたが,それぞれ測定原理,反応基質の違いが原因として考えられた。以上より,VITROSは,災害時のみならず日常検査においても有用であることが示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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