医学検査
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原著
インフォメーションテクノロジーを活用した新しい心エコー教育プログラムの有用性評価
神野 真司北川 文彦杉本 邦彦藤田 孝山田 晶成瀬 寛之井澤 英夫畑 忠善
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2021 年 70 巻 2 号 p. 213-219

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抄録

当院では,循環器内科医師と臨床検査技師で構成される心エコーチームによる,スキルアップを目的とした心エコーカンファレンスを毎週開催している。しかし,2020年4月よりCOVID-19感染対策の観点から開催の自粛を余儀なくされている。そこで我々は,インフォメーションテクノロジー(information technology; IT)を用いた,ワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web; Web)上での関連病院合同教育プログラムを代替実施し,今回その有用性を検証した。心エコーチーム計23人(当院19人,関連病院4人)を対象に,オンラインサービスを用いて症例問題を作成し,解答を募った。従来の心エコーカンファレンスの参加者は平均8.2人であったが,Webによる開催は参加可能な対象者が拡大し平均13.7人と増加した。正答者率の数値化により,各疾患に対する理解度を明らかにすることができた。最も正答者率が低かった問題に関しては,教育プログラムを提示することで正答者率の有意な改善が認められた。また,フリーコメントの記載により問題点が明確になり,的確な改善策が講じられたことも利点であった。Webを用いた教育環境は,時間や場所を選ばずに自由な参加形式を取れることから,多くの利点がある。さらに,本教育プログラムは症例問題を案出することにより地域医療施設間の精度管理に応用でき,大学と連携することで医学教育にも貢献できる可能性が示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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