医学検査
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症例報告
コロニー形態の異なる2菌株のMycobacterium fortuitum complexが検出されたカテーテル関連血流感染症の一例
木永 芙美黒田 みずき古野 浩武藤 敏孝
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2021 年 70 巻 4 号 p. 766-772

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抄録

Mycobacterium fortuitum complexによるカテーテル関連血流感染症の症例を経験したので報告する。患者は61歳女性,発熱,倦怠感を主訴に来院した。4病日目に血液培養が陽性となり,グラム染色で難染性を示すグラム陽性桿菌を認めたため抗酸菌染色を行ったところ陽性であった。5%羊血液寒天培地にてコロニー形態の異なる2菌株の抗酸菌が発育し,中心静脈カテーテル表面の付着物(痂皮),皮下埋め込み型中心静脈アクセスポートからも同様の2菌株が発育した。発育の速さより迅速発育抗酸菌によるカテーテル関連血流感染症が疑われた。2菌株は両方ともDDH(DNA-DNA hybridization)法でM. fortuitum,質量分析法でM. fortuitum complexと同定され,ブロスミックNTMにて薬剤感受性試験を測定したところ同一のMICパターンを示した。Imipenem/Cilastatin(IPM/CS)とAmikacin(AMK)による治療が6週間行われ,全身状態が改善したため退院となった。非結核性抗酸菌の同定,薬剤感受性試験は重要であり,稀な菌が想定される場合や難治性の場合などは特に医師との情報交換が必要だと再認識した。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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