赤血球輸血歴のない80歳代の日本人女性の血漿中から抗Kを検出した。9か月前の不規則抗体スクリーニングでは陰性であったため,抗K自然抗体と考えられた。この抗体はジチオスレイトール(Dithiothreitol; DTT)処理に感受性を示し,免疫グロブリンクラスはIgM型が想定されたが,37℃における反応性を有していた。また,反応増強剤無添加-間接抗グロブリン試験(saline-indirect antiglobulin test; Saline-IAT)でおよそ3週間検出可能であった。これまでのいくつかの報告例における,産生機序として微生物の関与が想定される抗K自然抗体の性状と本症例のそれとは異なる点があり,微生物の関与以外の機序の可能性が示唆された。