医学検査
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原著
化学発光酵素免疫測定法を用いた疾患特異的抗核抗体スクリーニング検査の日常診療における有用性の検討
小笠原 綾子生戸 健一渡邊 優子大籔 智奈美佐藤 伊都子今西 孝充三枝 淳
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2021 年 70 巻 4 号 p. 661-668

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抄録

抗核抗体検査は膠原病や自己免疫性肝炎などの自己免疫疾患の診断に重要である。今回,我々は核抗原が限定された化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を原理とした疾患特異的抗核抗体のスクリーニング検査について,間接蛍光抗体法(IF法)との比較解析により日常診療における臨床的有用性を評価した。抗核抗体検査が診断に重要である消化器内科,膠原病リウマチ内科,皮膚科を精査解析の対象とした。消化器内科におけるCLEIA法とIF法(40倍)の判定一致率は41.9%と低く,IF法でしか検出できない自己抗体が臨床的に重要であると考えられた。膠原病リウマチ内科や皮膚科におけるCLEIA法とIF法(160倍)との判定一致率は72.8%および77.5%と低かったが,乖離例の精査解析からCLEIA法は抗SS-A抗体を含む疾患特異的抗核抗体を効率よく検出できていた。さらに,CLEIA法陰性/IF法陽性の乖離例中には,Dense fine speckled(DFS型)を示す割合が膠原病リウマチ内科と比較して皮膚科で有意に高く,対応抗体である抗DFS70抗体がほぼ全例で陽性であった。以上より,日常診療において消化器内科など一部の診療科ではCLEIA法は不向きであったものの,膠原病疾患を対象とする膠原病リウマチ内科や皮膚科では,8項目の疾患特異的抗核抗体のみをスクリーニングする目的としてCLEIA法は臨床的に有用であると考えられた。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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