肺機能検査の予測値は性別・身長・年齢によって求められるが,生活環境の変化などを考慮し定期的な見直しが必要であると考える。本研究は日本呼吸器学会が2001年に報告した予測値から2014年に報告した予測値(JRS2014)に変更した場合の肺活量(VC),努力肺活量(FVC),1秒量(FEV1)に対する信頼性の評価及び系統誤差を知ることを目的とする。またアメリカ胸部学会でも推奨されている正常下限値(LLN)も含め検討を行ったので報告する。相対信頼性の評価はLandisの基準でalmost perfectであった。予測値変更による影響は,男性でVC(−0.55%~7.59%),FVC(−2.45%~6.25%),FEV1(−8.48%~3.30%),女性でVC(−1.08%~10.33%),FVC(−0.44%~14.55%),FEV1(−2.28%~14.70%)に収まることが推定された。またVC低下患者検出にはJRS2014,LLNで評価することで検出数は有意に増加した。気流閉塞患者検出にはLLNを用いることで男性では検出数が増加したが,女性では差を認めなかった。予測値変更の際には変更後の影響を知ることが重要である。また呼吸器疾患早期発見には新しい指標を用いることも検討する必要があると考えられた。