医学検査
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原著
抗リン脂質抗体スクリーニングELISAの開発
三島 健太郎金重 里沙本木 由香里野島 順三
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2021 年 70 巻 4 号 p. 647-653

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抄録

抗リン脂質抗体症候群(APS)の第一選択スクリーニング検査としてより多くの種類の抗リン脂質抗体を検出できるELISAの開発を目的とした。抗リン脂質抗体のエピトープ提供蛋白であるβ2グリコプロテインI(β2-glycoprotein I; β2GPI)とプロトロンビン(prothrombin; PT)を含有する成牛血漿(adult bovine plasma; ABP)と成牛血清(adult bovine serum; ABS)を固相化リン脂質(cardiolipin; CL)に結合させたaCL/ABP-ELISA,aCL/ABS-ELISAを開発し,その臨床的有用性を市販ELISAキットと比較した。2種のHome-made-ELISA間でAPS 63症例を対象に陽性率を比較した結果,aCL/ABS-ELISAに比較してaCL/ABP-ELISAが高い陽性率を示した。また,市販キット中で高い陽性率を示したIL-Japan aβ2GPI-IgG(61.9%)に比較して,aCL/ABP-ELISAの陽性率は85.7%と明らかに高かった。合併症別にみても動脈血栓症例(n = 41)で80.5%,静脈血栓症例(n = 12)で91.7%,血栓症合併例を含む妊娠合併症例(n = 8)で100%と明らかに高い陽性率を示した。これらの結果より,aCL/ABP-ELISAはAPSの第一選択スクリーニング検査として有用であると考えられる。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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