2021 年 70 巻 4 号 p. 676-684
LEBER遺伝性視神経症(LHON)は,2015年にミトコンドリア病の一種として難病認定された。本疾患におけるミトコンドリアDNA(m.DNA)の変異は,3460G>A・11778G>A・14484T>C(三大変異)が約90%以上を占めている。MITOMAPのLHON mutationsに登録されているPrimary及びOther candidate LHON mutationsの変異(他変異)の検出を目的として,三大変異をMGB (minor groove binder)-probe法で測定し9領域36箇所の解析法を実施した結果,シーケンス解析は時間と試薬コストがかかりデータ量も膨大になることが明らかとなった。今回,検査の効率化を目的として,診断区分に合わせたm.DNA検査を実施してその効果を精査した。63例の三大変異の内訳は,医師により作成された臨床診断におけるLHONらしき水準(L1~L3)に基づいた診断レベルL1が1例,L2が9例,L3が10例であり,診断レベルが高いほど検出率が高かった。なお,9例の他変異の内訳は,診断レベルL1が3例,L2が3例,L3が4例であった。以上より,検査依頼医との連携に基づく診断レベルに合わせたm.DNA検査を導入することで,検査の省力化及び報告日数の短縮,ならびに他変異の解析も同時に行うことが可能であった。したがって,2015年難病認定基準改定に基づいたLHON診断を確実に実施するためにも,本解析法は臨床的に有用であると考えられた。