医学検査
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技術論文
CLSIガイドラインに準じたEscherichia coliの簡易同定法の検証
喜多 いずみ大瀧 博文
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2021 年 70 巻 4 号 p. 733-739

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抄録

微生物検査における同定検査は質量分析装置を用いた迅速な同定法が普及しつつあるが,導入に至らない施設も多く,同定の迅速化に関する課題は完全に解消されていない。今回,臨床検体から高頻度に検出されるEscherichia coliの同定に関して,Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)が発行するM35-A2に記載された方法(CLSI法)およびこの原法にあたるYorkらの方法(原法)に基づいて各種性状検査を実施し,結果を比較,検証した。本検証には,臨床検体から分離されたオキシダーゼ試験陰性かつスポットインドール試験陽性の腸内細菌目細菌,全543株(E. coli:478株,対照株:65株)を使用した。結果,E. coliはCLSI法および原法ともに全株で同定可能であり,全体の99%が30分以内に結果を判定できた。対照株はCLSI法で6株,原法で1株の誤同定を認めた。これらはβ溶血を示したMorganella morganii 5株によるCLSI法のみでの誤同定と,PYR試験陰性の Klebsiella oxytoca 1株による両方法での誤同定に起因しており,日常検査では原法の使用がより適切と示唆された。本手法は,日常検査の様々な場面で,施設毎の必要に応じた効果的な導入が望ましいと考えられた。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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