医学検査
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技術論文
2種のチミジン依存性SCVs-MRSA検出可能培地の検出性能に関する比較検討―クロモアガーMRSAスクリーン培地とニッスイプレートX-MRSA寒天培地の比較―
西尾 美津留宮木 祐輝小川 有里子大杉 崇人古池 章
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2021 年 70 巻 4 号 p. 748-753

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抄録

今回我々は,チミジン依存性(small-colony variants MRSA;以下SCVs-M)検出可能培地であるクロモアガーMRSAスクリーン培地(関東化学)(A)とニッスイプレートX-MRSA寒天培地(日水製薬)(B)について,SCVs-Mの発育性能ならびに日常検査への有用性を評価した。方法:(1)臨床分離株:SCVs-M 3株,通常のMRSA 1株と,ATCC株:MRSA 1株,MSSA 1株を用い,発育性能確認試験,Miles & Misra法による発育支持能試験を行った。(2)2017年6~7月に提出された臨床検体50件を対象としMRSA検出能を比較検討した。結果:(1)2培地の結果は同等の発育性能であり,発育支持能もほぼ同等であった。SCVs-M 1株はA,Bともに発育に48時間要したが,2株は24時間で通常のMRSAと相違の無い発育を認めた。(2)臨床検体における感度/特異度/陽性的中率/陰性的中率は,24時間判定でA,Bともに100%/100%/100%/100%,48時間判定でA;100%/91.7%/33.3%/100%,B;100%/93.8%/40.0%/100%であった。まとめ:2培地のSCVs-M検出能,日常検査におけるMRSA検出能は,ほぼ同等であった。臨床検体の培養検査にこれらを用いることで,SCVs-Mが容易に検出されることが期待出来る。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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