COVID-19において,心筋傷害や血栓塞栓症などの心血管合併症を有する症例が問題となっている。しかしながら,本邦では急性期と回復期における心機能評価に関する報告はまだない。今回我々は,COVID-19で入院となった患者のうち急性期と回復期に心エコー図検査を施行できた中等症患者4症例に対し,血液検査としてhsTnT,hsTnI,D-dimer,IL-6の比較を実施した。4症例ともに循環器・呼吸器疾患既往はなく,4症例すべてでLVEFは正常範囲内であったが,急性期と回復期の比較においては,4症例ともに回復期でLVGLS,RVFAC,TAPSEの低下を認め,うち3症例ではLVEF,RVGLS,RVFWLSも低下を認めた。D-dimerは,2症例で僅かな上昇,うち1症例で陽性が持続した。急性期のhsTnTは,4症例ともに基準値内ではあったが,3症例で微量検出し,IL-6は2症例で異常高値を認めた。回復期に,3症例ではLVEFは低下していたものの,4症例すべてで正常範囲内に保たれており,肺炎像や呼吸苦などの症状も消失していたが,詳細な左室機能と右室機能はともに低下を認めた。このことから,急性期とともに回復期以降も定期的な左室機能および右室機能のフォローが必要である可能性が示唆された。