2022 年 71 巻 2 号 p. 288-293
凝固検査は自動分析装置による測定が普及しているが,原理の異なる多項目の測定を行うことで,検体処理能力が低下することがあった。この点を改善するために,原理ごとに測定部を独立させた全自動血液凝固検査システム「STACIA CN10」が開発されたので,検体処理能力を評価した。凝固検査項目を不作為に依頼した50検体の測定時間は,STACIA CN10で62分58秒と対照機器CS-5100の82分59秒に比べ,約20分短かった。一方,1検体当たりの測定時間は,CS-5100よりも平均で約3分30秒長かった。そこで,検体のサンプリング間隔を調べたところ,CS-5100と比較し平均で30秒短縮していた。これらの結果より,STACIA CN10は,測定部の独立によりサンプリング間隔を短縮させ,連続した多項目測定においても処理能力の低下が起こらないと考えられた。STACIA CN10は,CS-5100より検体処理能力が向上しており,緊急検査や診療前検査を含む日常検査に有用であると考えられた。