医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
原著
無症候で発見された頸動脈プラーク潰瘍形成と以後の神経学的症状出現との関連
湯浅 麻美西尾 進平田 有紀奈大櫛 祐一郎荒瀬 美晴楠瀬 賢也山田 博胤佐田 政隆
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 71 巻 3 号 p. 404-411

詳細
抄録

目的:潰瘍形成を伴うプラークは,要注意プラークとして脳梗塞発症のリスクを有するとされている。また,頸動脈エコー検査時に偶然発見される無症候性の潰瘍形成を伴うプラークは少なくない。本研究の目的は,頸動脈エコー検査において無症候で発見された潰瘍形成を伴うプラークが,同様のリスクを有する潰瘍形成のないプラークと比べ,経過観察中に脳梗塞を疑うような神経学的症状(以下,神経学的症状)出現が多いか否かを検討することである。方法:2014年1月から2018年12月までの間に,初回超音波検査で潰瘍形成を認めた87例を潰瘍形成群,初回検査で潰瘍形成を伴うプラークを指摘されなかった1,526例から,propensity scoreを用いてリスクファクターをマッチさせた87例を抽出し非潰瘍形成群とした。両群の神経学的症状出現の有無について後ろ向きに調査し,比較検討した。成績:検査後の経過観察中に神経学的症状の出現を認めたのは,潰瘍形成群87例中2例(ともに一過性脳虚血発作)であり,非潰瘍形成群では神経学的症状の出現を認めなかった。2群間の神経学的症状出現の有無について統計学的有意差を認めなかった。結論:無症候で発見された潰瘍形成を伴うプラークは,経過観察中の神経学的症状出現と有意な関連を認めなかった。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top