医学検査
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技術論文
HISCLTM SARS-CoV-2抗原定量値に対するカットオフ値のバリデーション―当院における新型コロナウイルス抗原検査の現状と課題―
金 貞姫菊地 良介鈴木 敦夫度會 理佳細山田 理葉奥村 由依戸上 恭葉松下 正
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2022 年 71 巻 3 号 p. 457-464

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抄録

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)において,迅速かつ精確なスクリーニング検査体制の拡充はCOVID-19感染者への早期介入を可能とし,感染拡大防止と重症化抑止を図る点で重要である。当院ではCOVID-19スクリーニング検査としてHISCLTM SARS-CoV-2抗原検査を採用している。一方で,抗原検査陽性と判定されてもPCR検査で陰性となる症例が散見され,偽陽性反応が課題として挙げられた。今回我々は,当院でのSARS-CoV-2抗原検査実績の検証と,測定結果から定量値に対するカットオフ値のバリデーションを行った。対象とした6,646件で陽性判定の1.0 cutoff index(C.O.I.)を用いた場合,71件で陽性(1.0~47,318.6 C.O.I.)であった。その内,PCR検査等による確定診断からCOVID-19は48件であり,1.0 C.O.I.での陽性一致率は67.6%であった。しかし,Receiver Operating Characteristic解析から算出したC.O.I.は3.95で,Area Under the Curveは0.93であった。HISCLTM SARS-CoV-2 Ag試薬を用いた抗原検査では陽性判定を4.0 C.O.I.とした場合,陽性一致率は95.3%となり有用性が増す可能性が示唆された。

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© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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