医学検査
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技術論文
全自動尿中有形成分分析装置UF-5000におけるAtyp.Cと尿細胞診,尿沈渣の比較検討
酒井 瑠美子石川 道子松本 慎二嶋田 裕史小川 正浩
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2023 年 72 巻 2 号 p. 210-215

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抄録

尿検査は代表的な無侵襲検査であり病気を推測するための検査として広く利用されている。最近では尿沈渣検査の効率化,迅速化のために自動分析装置を導入する施設が増えている。使用する際は自動分析装置の検出限界を見極め,結果の信頼性が低い検体は鏡検による尿沈渣検査を実施しなければならない。全自動尿中有形成分分析装置UF-5000におけるAtyp.C(atypical cells:異型細胞等)の数値と病理学的検査である尿細胞診,尿沈渣の出現細胞やその背景を比較し数値の意義について検証した。カットオフ値0.5/μLの場合,尿細胞診class IV以上を陽性としたときの感度は64.7%,特異度は90.5%,一致率は88.6%であった。Atyp.Cを日常検査に用いる場合はカットオフ値0.5/μLが適切であると考えられる。Atyp.Cが高値で尿細胞診の結果と乖離する検体には炎症を認める検体が多く,細胞質内封入体細胞などの炎症に伴う細胞を反映するAtyp.Cの特性によるためと推察した。Atyp.Cが低値の乖離検体は出現細胞数の少なさや変性の強さなどにより機器で認識することが困難なためと考える。Atyp.Cを用いることで今まで見逃していた異型細胞を捉えられる可能性がある。これは病変の早期発見となり,大きな意義があるといえ,臨床への貢献につながるといえる。

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© 2023 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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