医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
自動血液培養装置のボトルグラフを確認したことで起因菌同定につながったCardiobacterium hominisによる感染性心内膜炎の1例
関谷 香三輪 優生石渡 遥古川 奈々坂元 肇
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2024 年 73 巻 1 号 p. 147-153

詳細
抄録

Cardiobacterium hominisは口腔咽頭内の常在菌で,まれに感染性心内膜炎の原因となる。今回,自動血液培養装置で陽性とならなかったC. hominis感染性心内膜炎の症例を経験した。患者は57歳男性。発熱と労作時呼吸困難のため救急外来を受診し,その際に血液培養を2セット採取した。その後,経食道心エコーにて弁尖2ヶ所に可動性のある疣贅様エコーを認め,感染性心内膜炎と診断された。Ceftriaxone(CTRX)を投与し帰宅され,2日後入院しCTRXとSulbactam/Ampicillin(SBT/ABPC)の投与を開始した。入院6日目に僧帽弁置換術を実施し,僧帽弁組織のグラム染色で多数のグラム陰性桿菌が検出された。しかし,組織の培養検査は陰性だったため,外来受診時採取の血液培養を確認したところ,血液培養装置の自動判定は陰性であったが血液培養ボトル4本中1本のボトルグラフの増殖曲線にわずかな上昇を認めた。その1本でグラム染色を施行した結果,グラム陰性桿菌を認めた。培養の結果コロニーの発育を認め,既往や菌の形態からHACEK群を疑いC. hominisと同定された。僧帽弁組織培養では,抗菌薬投与後であったため,菌の発育を確認することができなかったと考えられた。自動血液培養装置で陽性とならない場合も,血液培養ボトルの検索を行うことによりC. hominisの同定につなげることができた。

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top