医学検査
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技術論文
PAM(Periodic Acid-Methenamine silver)染色の再現性向上のための検討―銀反応経時的変化と尿細管刷子縁の呈色を利用して―
藤田 裕太中村 博小関 ほの香片山 ひかり喜納 勝成橋爪 茜泉 浩冨田 茂樹
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2024 年 73 巻 2 号 p. 230-236

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抄録

過ヨウ素酸メセナミン銀染色は,腎臓の病理組織学的な観察をする上で重要な染色の一つである。しかし,切片厚や銀反応時間の曖昧さなどから,染色性にバラツキが生じやすい染色法とされる。今回我々は,本染色におけるメセナミン銀反応中の経時的変化および経時的変化を利用した反応終点と有用性について検討した。対象には腎パラフィンブロックを用い,2 μm厚で薄切した。銀液の加温は攪拌効果と反応時間短縮のためにマイクロウェーブ,マイクロウェーブを使わない方法としてパラフィン溶融器を使用した。反応温度は,銀反応過程を観察しやすい45℃と本染色に一般的である65℃を用いた。染色法にはチオセミカルバジドを用いた過ヨウ素酸メセナミン銀染色に従い,メセナミン銀染色における経時的染色性の変化と反応終点について,顕微鏡下での視覚的評価を行った。銀反応の経時的な変化はメサンギウム基質に次いで糸球体基底膜,尿細管刷子縁の順に黒色呈色反応が進んだ。反応終点は糸球体基底膜,メサンギウム基質が黒色を呈し,同時に尿細管刷子縁が一本の線状に茶褐色または茶色変化を示した時点を終点とすることで良好な染色性が得られ,染色の再現性が向上した。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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