医学検査
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原著
過去の内部精度管理測定値から算出したCVを用いた精度管理幅設定の試み
村越 大輝久住 裕俊平松 直樹薗田 明広
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2024 年 73 巻 2 号 p. 223-229

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抄録

2017年6月14日に公布された医療法等の一部を改正する法律に伴い,臨床検査技師等に関する法律が改正され検体検査業務を行う医療機関や登録衛生検査所等における精度管理基準が明確化された。生化学検査を実施している施設の9割以上が内部精度管理(internal quality control; IQC)を実施しており,既知濃度の管理試料を測定し,自施設で設定した精度管理幅(以下,管理幅)で精度を確認している。管理試料が新ロットに変更になる際には,新たな管理幅を設けるために1か月程度,現状および新ロットの管理試料を併行測定して標準偏差を取得する必要があり,時間と費用を要する。本研究では,管理試料が新ロットに変更となる際に,極力,時間と費用をかけず管理幅用の標準偏差の取得方法を考案した。管理幅を取得するための検証結果は,①ロットの異なるQAPトロールの精密度に差はなかった。②1か月間ごとのIQC測定値をBonferroni法で比較した結果,多くの群間で有意差を認めた。③6か月以上のIQC測定値の平均値を集計することでCVのバラツキは軽減した。これらから,最低6か月間のIQC測定値から算出したCVを用いて目標値に対するSDを算出する。IQCを実施しデータを蓄積している施設においては簡易的かつ費用をかけずに自施設の精密度を反映した管理幅を算出できるため,多くの施設で活用できる管理幅設定法と考える。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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