2025 年 74 巻 2 号 p. 362-368
HCV抗体検査陽性者からの未診断C型肝炎患者拾い上げ状況に関する多施設アンケート調査を実施し,未診断C型肝炎患者拾い上げの状況とその効果を検討した。九州免疫血清研究会で承認が得られた9施設にアンケート調査を実施し,HCV(hepatitis C virus)抗体検査実施総数は10,194件,HCV抗体陽性248件(2.4%),HCV抗体陰性9,946件(97.6%)であった。HCV抗体陽性後HCV-RNAの測定は77件(31.0%),HCV-RNA陽性16件(6.5%),HCV-RNA陰性61件(24.6%)であった。HCV-RNA未測定は171件(69.0%)であり,HCVの感染既往ありは109件(44.0%),未診断は56件(22.5%)存在した。未診断C型肝炎患者拾い上げの対策有りは7施設(77.8%),対策無しは2施設(22.2%)であった。各施設の拾い上げの対策は,HCV抗体陽性者リストの作成のみが2施設,主治医にメールで陽性通知のみが1施設,電子カルテのアラートシステムのみが2施設,3つの対策を組み合わせて実施しているのが2施設であった。3つの対策を組み合わせて実施している2施設は未診断の割合が1つの対策のみの施設より明らかに低かった。医療機関における未診断C型肝炎患者の拾い上げは重要であり,今後さらなる拾い上げの効率化により未診断C型肝炎患者を的確な治療へ導くことが望まれる。