医学検査
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技術論文
化学発光法を原理とするHTLV抗体スクリーニング試薬の評価
岡本 愛谷口 裕美村上 晶子森本 麻里池田 真智子高須賀 康宣大澤 春彦
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キーワード: HTLV抗体, 化学発光法, CLIA, CLEIA, ECLIA
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2025 年 74 巻 2 号 p. 347-353

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抄録

ヒトT細胞性白血病ウイルスI型およびII型感染におけるスクリーニング検査は,HTLV-I抗体とHTLV-II抗体を同時に検出できる試薬が現在広く用いられている。今回,我々は,化学発光法を原理とするHTLV-I/II抗体試薬3試薬(エクルーシス試薬Anti-HTLV I/II,HTLV・アボット,ルミパルスHTLV-I/II)の比較検討を行った。感度比較では,HTLV-IでルミパルスHTLV-I/IIが他より2倍感度が高く,HTLV-IIでは,ルミパルスHTLV-I/IIとHTLV・アボットが同等で,エクルーシス試薬Anti-HTLV I/IIより2倍感度が高い結果であった。当院測定試薬であったセロディアHTLV-Iを含む各試薬間相関の判定一致率は,94.8~100%と良好であった。セロディアHTLV-Iの測定値と各試薬測定値を比較したところ,HTLV・アボットとの相関性が最も良好な結果であった。各試薬間における乖離検体はcut off値付近であり,要因としては各試薬組成の違いや原理の違いによる反応性の違いが考えられた。各試薬陽性検体における確認試薬イノリアHTLVの各種特異抗原との反応性では,エクルーシス試薬Anti-HTLV I/IIとの一致率が最も良好であった。化学発光法を原理とするHTLV-I/II抗体試薬3試薬の比較検討の結果,スクリーニング試薬としてはいずれも感度・特異性良好で使用可能であるが,使用に当たってはcut off値付近の陽性例に注意し,測定値の特徴を理解した上で使用する必要がある。

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