医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
胸水細胞診およびセルブロックを用いた免疫組織化学が診断に有用であった原発不明NUT癌の1例
小堺 智文桐井 靖原 美紀子岩本 拓朗中林 徹雄横山 彩子上條 朋美太田 浩良
著者情報
キーワード: NUT癌, 胸水細胞診, 症例報告
ジャーナル フリー HTML

2025 年 74 巻 3 号 p. 590-596

詳細
抄録

Nuclear protein in testis(NUT)癌はNUT遺伝子の再構成を伴う低分化な稀少癌であり,予後不良である。原発不明癌の状態で胸水細胞診とセルブロックを用いた免疫組織化学(immunohistochemistry; IHC)で診断し得たNUT癌の1例を報告する。患者は90歳代男性で,左上腹部疼痛を主訴として当院を受診した。コンピュータ断層撮影(computed tomography; CT)にて左の胸水貯留が認められ,胸腔ドレナージが施行された。胸水細胞診では,小型~中型の単調な円形異型細胞が散在性あるいは細胞集塊を形成して多数観察された。異型細胞の核は円形~類円形で,核小体は大型であり,細胞質は狭小であった。セルブロック標本のIHCにおいて,異型細胞はp63,p40,NUTが陽性を示し,NUT癌と診断された。胸腔ドレナージ後のCTによる全身検索では原発病変は認められなかった。患者は入院34病日目に永眠された。NUT癌は低分化な細胞像を示すため,細胞診での診断は困難であるが,本症例ではセルブロックを用いたIHCがNUT癌の診断に有用であった。

著者関連情報
© 2025 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top