今回我々は,当院が考案した血液培養陽性ボトル前処理方法を用いたQライン極東®PBP2’の感度向上について検討したので報告する。対象は,当院各診療科より提出された血液培養陽性ボトルのうち,VITEK MSによる直接同定でStaphylococcus spp.の菌名が得られた150検体とした。本キットは添付文書に従い実施し,血液培養陽性ボトルからサブカルチャー後にコロニーを用いる方法を基準法とし,血液培養陽性ボトルから直接実施する方法(Q直接法)と,当院が考案したスプタザイムによる前処理方法を用いた方法(当院法)を比較検討した。菌種の内訳は,Staphylococcus aureus 84株(MSSA 48, MRSA 36),coagulase-negative staphylococci(CNS)66株(MSCNS 30, MRCNS 36)である。結果としては,S. aureusではQ直接法の感度97.2%,特異度100%,一致率98.8%,kappa係数0.98,当院法100%,100%,100%,1であった。CNSではQ直接法52.8%,100%,74.2%,0.50,当院法94.4%,100%,97.0%,0.94であった。当院の血液培養前処理方法を用いることでS. aureusのみならずCNSも基準法と同等の一致率で迅速にPBP2’の検出が可能であることが示唆された。