医学検査
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原著
神戸大学医学部附属病院における5q-脊髄性筋萎縮症のDNAシーケンス解析―高頻度に認めたc.462A>Gバリアントの考察を踏まえ―
西川 佳佑野口 依子松本 久幸今西 孝充矢野 嘉彦山口 智美西尾 久英
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2025 年 74 巻 4 号 p. 662-669

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Abstract

5q-脊髄性筋萎縮症(5q-SMA)は遺伝性運動ニューロン疾患の一つである。本疾患患者の95%はSMN1遺伝子欠失のホモ接合体であり,残りの5%はSMN1遺伝子欠失とSMN1遺伝子内バリアントの複合ヘテロ接合体である。神戸大学医学部附属病院検査部では2021年以降,5q-SMAの遺伝学的検査に取り組んでおり,我々はこれまでに,SMN1を残存する5q-SMA疑い患者14名を対象にDNAシーケンス解析を実施した。患者1名でフレームシフト変異c.691dup,2名でSMN1/SMN2ハイブリッド遺伝子,全員で同義置換c.462A>Gが同定された。c.462A>Gの検出頻度が非常に高かったため,Clinvarで「Likely-benign」と登録されている本バリアントの病原性を再評価した。mRNA解析やin silico解析により,c.462A>Gはスプライシングパターンに影響を与えず病原性はない,つまり5q-SMAの発症とは関連がないと結論した。さらに病原性評価の過程で,参照するデータベースが少数集団の配列である可能性や相同遺伝子により健常人の遺伝子配列データベースが欠如し,検出したバリアントの病原性評価が困難になる可能性があることが明らかとなった。バリアントの病原性を評価する際は,その遺伝子の特徴や選択する参照配列に留意する必要がある。

Translated Abstract

5q-spinal muscular atrophy (5q-SMA) is an autosomal recessive neuromuscular disease that is caused in most patients (95%) by homozygous deletion of SMN1 gene. In the remaining patients (5%), it is caused by heterozygous SMN1 gene deletion with intragenic mutations in the other copy. We have been performing genetic analyses of 5q-SMA since 2021 at Kobe University Hospital. In this study, we performed DNA sequence analysis of 14 patients suspected of having 5q-SMA retaining SMN1 gene. Our analyses identified a frameshift mutation (c.691dup) in one patient, SMN1/SMN2 hybrid genes in two patients, and c.462A>G (synonymous) in all patients. Due to the very high frequency of c.462A>G in our patients, we reevaluated its pathogenicity described as “Likely benign” in the Clinvar. Our mRNA and in silico analyses indicate that c.462A>G did not affect the SMN1 splicing pattern. We conclude that c.462A>G is not pathogenic and is not associated with the development of 5q-SMA. Pursuant to our investigations, we found that reference database contained sequences from a small number of populations and that the database lacked gene sequence information from healthy individuals because of a homologous gene, which may make it difficult to evaluate variant pathogenicity. When evaluating variant pathogenicity, it is necessary to consider gene characteristics including the presence of a homologous gene and the quality of the database.

I  序文

SMN1遺伝子異常に関連する5q-脊髄性筋萎縮症(5q-SMA)は,常染色体潜性遺伝形式をとる下位運動ニューロン疾患であり,本邦における発症頻度は2万人に1人と推定されている1)。5q-SMAは発症年齢と運動マイルストーンによって0型(最重症型)から4型(軽症型)までの5病型に分類され2),体幹や四肢の筋力低下,筋萎縮,筋緊張低下などの症状が各病型に共通して認められる。5q-SMAの疾患遺伝子は染色体5q13上に存在するSMN1遺伝子であり,両アレル性のSMN1遺伝子異常によって疾患が引き起こされる。本疾患患者の95%はSMN1遺伝子欠失のホモ接合体であり,残りの5%はSMN1遺伝子欠失とSMN1遺伝子内バリアントの複合ヘテロ接合体である。5q-SMAの有病率は他の下位運動ニューロン疾患と比べはるかに高く,遺伝性運動機能障害を疑う患者の遺伝子診断にあたっては,まずSMN1遺伝子欠失の有無を検査し,次いでSMN1遺伝子ホモ欠失のない患者においてはSMN1遺伝子内バリアントの有無を検査することになる。SMN1遺伝子には同領域に向反性に重複した配列のSMN2遺伝子が存在し,両者の違いはわずか数塩基であるため,シーケンス解析はそれを踏まえ工夫して実施する必要がある。

神戸大学医学部附属病院検査部では2021年以降,5q-SMAの遺伝学的検査に取り組んでおり,我々はこれまでに,SMN1を残存する5q-SMA疑い患者14名を対象にDNAシーケンス解析を実施した。本紙では,これまでの解析結果を報告するとともに,高頻度に検出されたバリアントの病原性について再評価を行った。

II  対象と方法

1. 対象

2021年4月から2024年7月にかけて,運動機能に異常を認め,遺伝性運動機能障害が疑われた患者125例の内,DNAシーケンス解析依頼のあったSMN1遺伝子ホモ欠失がない14例(ヘテロ欠失例含む)。

2. 方法

1) DNA,RNA抽出

EDTA採血により得られた患者末梢血液から,QIAamp DNA Mini Kit(株式会社キアゲン)を用いてDNAを,Sepasol RNA I reagent(ナカライテスク株式会社)を用いてRNAを抽出した。

2) DNAシーケンス解析

Table 1に示すSMN1遺伝子とSMN2遺伝子の共通プライマーを用いて各エクソンとその周辺領域をPCRで増幅し(Figure 1A),精製したPCR産物のサンガーシーケンス解析により塩基配列を決定した。得られた塩基配列はNG_008691.1及びNM_000344.4(米国国立生物工学情報センター;NCBIデータベース:SMN1遺伝子)を参照し,バリアントの有無を確認した。バリアントを検出した場合,後述のLong Range PCRによりSMN1遺伝子とSMN2遺伝子を区別し,バリアントがどちらの遺伝子上に存在するかを確認した。なお,SMN2遺伝子の参照配列はNG_008728.1(NCBIデータベース:SMN2遺伝子)とした。

Table 1 SMN1遺伝子とSMN2遺伝子の共通プライマー

Target Sequence (5'-3') Annealing Size References
exon1 F AAGTCGTCACTCTTAAGAA 56°C 168 bp This study
R AATAGGGAGACTGCACTGGCTGCGACCT
exon2a F GTAATTTTGTTATGTGTGGATT 50°C 249 bp This study
R TTATCGTATGTTATCAATTCCTTTC
exon2b F TAACATGTACATTTTTATTCC 52°C 193 bp 5)
R GAGACATCCTTTGAAGTTAAA
exon3 F ATCAAAACGAGATGATAGTT 52°C 347 bp This study
R TGTATACTGTTTAACAGTTT
exon4 F ACCGAGGCATTAATTTTTTCT 54°C 302 bp 5)
R GGAGAGCTACAAATTAGTTAA
exon5 F CCTATCATATTGAAATTGGT 50°C 201 bp 5)
R ATTATCAAATTGTATGTGAAAG
exon6 F TTACTGGATATAAACAATAT 49°C 208 bp 5)
R CCAAACAAAGTCACATAACT
exon7 F AGACTATCAACTTAATTTCTGATCA 56°C 241 bp 5),7)
R GATTCACTTTCATAATGCTGG

F:フォワードプライマー,R:リバースプライマー

Figure 1  当院における5q-SMAのDNAシーケンス解析

A:SMN1遺伝子とSMN2遺伝子の共通プライマーを用いて各エクソンとその周辺領域を増幅した。B:エクソン8の塩基配列の違いを利用し,SMN1遺伝子とSMN2遺伝子をそれぞれ増幅した(Long Range PCR)。Bの増幅産物を鋳型に,バリアントが見られたエクソンに対応するプライマー及び両遺伝子間で配列に違いがあるエクソン7に対応するプライマーを用いて再度増幅・シーケンス解析を行った。これにより検出したバリアントの由来を確認した。

3) Long Range PCR

Kuboら3)及びWijayaら4)の方法に準じて行い,得られたLong Range PCR産物を鋳型とし,バリアントが見られたエクソンに対応するプライマー及びエクソン7を増幅するプライマー(Table 1)を用いて再度増幅した(Figure 1B)。精製したPCR産物のサンガーシーケンス解析により塩基配列を決定し,バリアントの有無を確認した。なお,Long Range PCRに用いるプライマーはWijayaらの報告4)に基づいて作成したものを使用した(Table 2)。

Table 2 Long Range PCRに使用したプライマー

Target Sequence (5'-3') References
SMN1 F GTTGGGGGATCAAATATCTTCTAGTGTT 4)
R CCCCCACCCCAGTCTTTTACAGATGGT 4)
SMN2 F GTTGGGGGATCAAATATCTTCTAGTGTT 4)
R CCCCCACCTCAGTCTTTTACAGATGGT 4)

F:フォワードプライマー,R:リバースプライマー

4) バリアントの病的評価

検出されたSMN1遺伝子内バリアントはNCBIが提供するデータベース「ClinVar」にて疾患発症に寄与する程度を検索した。pre-mRNAのスプライシング位置を予測するソフトウェアであるSpliceAI(https://spliceailookup.broadinstitute.org/)及び,スプライシング関連タンパク質結合部位を検索するSpliceAid(http://www.introni.it/splicing.html)を用いて,バリアントがスプライシングへ与える影響を解析した。さらに,Wijayaら4)の方法に準じてRNAの逆転写PCR及びサンガーシーケンス解析により,SMN遺伝子mRNAのエクソン2b-3-4領域の塩基配列を確認した。

5) c.462A>Gの進化的起源の推測

ヒト(Homo sapiens)の近縁種であるチンパンジー(Pan troglodytes),ゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)及びオランウータン(Pongo pygmaeus)のSMN遺伝子コーディング領域の塩基配列をアライメントにより比較した。アライメントはCLC Sequence Viewer ver. 8.0で行い,各生物のSMN遺伝子配列はそれぞれ,NM_000344,XM_001156488,XM_031003409,XM_054489892を使用した(いずれもNCBIデータベース)。

なお,本研究は,神戸大学大学院医学研究科等 医学倫理委員会の承認のもと実施した(B230027)。

III  結果

14例中1例(7.1%)にフレームシフトバリアントであるc.691dup(p.Cys231fs)を,2例(14.2%)にSMN1/SMN2ハイブリッド遺伝子を認めた。また,解析した14例全てのSMN1遺伝子において,ClinVarで「Likely-benign(良性の可能性が高い)」と登録されているc.462A>G(p.Gln154=)を認めた(ClinVar ID: VCV000586626.11)。さらにSMN2遺伝子上にも同様に,c.462A>Gに相当するバリアントが見られた(Table 3)。SMN1遺伝子,SMN2遺伝子のコピー数が明らかであった14例中11例について調べると,SMN1遺伝子c.462A>Gの遺伝子頻度は94%,SMN2遺伝子c.462A>Gの遺伝子頻度は100%であった。

Table 3 DNAシーケンス解析結果

No. SMN1コピー数 SMN2コピー数 c.462A>Gバリアント 他バリアント
エクソン7 エクソン8 エクソン7 エクソン8 SMN1 SMN2
21-12 不明 不明 不明 不明 ヘテロ接合 ホモ接合*
21-17 不明 不明 不明 不明 ホモ接合* ホモ接合*
22-02 不明 不明 不明 不明 ホモ接合* ホモ接合*
22-18 1 1 2 2 1コピー ホモ接合 SMN1:c.691dup/1コピー
23-20 2 2 1 1 ホモ接合 1コピー
23-28 1 1 1 1 1コピー 1コピー
23-29 2 3 1 0 ホモ接合 1コピー SMN1/SMN2ハイブリッド遺伝子
23-35 1 2 2 1 1コピー ホモ接合 SMN1/SMN2ハイブリッド遺伝子
24-04 2 2 2 2 ホモ接合 ホモ接合
24-10 2 2 2 2 ホモ接合 ホモ接合
24-15 1 1 3 3 1コピー 3コピー
24-26 2 2 1 1 ヘテロ接合 1コピー
24-27 2 2 2 2 ホモ接合 ホモ接合
24-29 2 2 1 1 ホモ接合 1コピー

*ホモ接合或いは1コピー

SpliceAIにより,c.462A>Gはスプライシング部位に影響を及ぼさないこと(データ省略),SpliceAidにより,スプライシング抑制タンパク質が結合する可能性は低いことが確認された(Figure 2)。また,SMN遺伝子mRNAのシーケンス解析では,c.462A>Gを有するエクソン3が正常なスプライシングを受けていることを確認した(Figure 3)。

Figure 2  スプライシング関連タンパク質の結合部位予測

SpliceAidによるスプライシング関連タンパク質の結合部位予測。c.462Gアレルではスプライシング抑制タンパク質が結合する可能性は低いことが確認された。

Figure 3  SMN遺伝子mRNA解析結果

c.462A>Gを有するSMN遺伝子のエクソン3が正常なスプライシングを受けていることを確認した。矢印は各エクソンの境界を示す。

ヒト近縁種であるチンパンジー・ゴリラ・オランウータンいずれのSMN遺伝子においても,ヒトc.462に相当する塩基配列はGであった(Figure 4)。

Figure 4  ヒト近縁種との比較

ヒトSMN1遺伝子をチンパンジー(Pan troglodytes),ゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)及びオランウータン(Pongo pygmaeus)のSMN遺伝子コーディング領域と比較した。c.462付近の塩基配列を示す。いずれのSMN遺伝子においても,ヒトc.462に相当する塩基配列はGであった。

IV  考察

DNAシーケンス解析を実施した全例に,SMN1遺伝子エクソン3内の遺伝子バリアントであるc.462A>Gが認められた。SMN1遺伝子エクソン3はSmタンパク質,フィブリラリン等のタンパク質と相互作用するTudorドメインをコードしており2),我々もこれまでに,SMA1型(重症型)患者においてc.275G>C(p.Trp92Ser)やc.422T>C(p.Leu141Pro)を見出したことを報告してきたが4),5),c.462A>Gは同義置換であるため,スプライシング異常がない限りTudorドメインを破壊することはないと考えられる。しかし,同義置換であるにも関わらずスプライシング異常を起こし,生成されたタンパク質の機能が異なる例が存在するため6),スプライシングへの影響を評価した。In silico解析及びSMN遺伝子mRNA解析により,c.462A>Gはスプライシングに影響を与えないことが確認された(Figure 3)。

SMN1遺伝子は,1995年にLefebvreら7)によって5q-SMAの原因遺伝子として初めて報告されたが,彼らの報告ではSMN1遺伝子c.462の塩基はGであった。また,Zhangら8)はDNAシーケンス解析を実施した5q-SMA疑いの患者及びその両親83例中69例(83.13%)にc.462A>Gを認めたと報告しており,Kleinleらの報告9)では,本バリアントを“common population SNV”と定義している。我々がこれまでに解析した検体は少数であり,SMN1遺伝子,SMN2遺伝子コピー数が不明な検体も存在するため,日本人集団における本バリアントの明確な遺伝子頻度を予測することは困難であるが,極めて高頻度に存在する一塩基多型であると予想される。さらに,c.462A>GはSMN1遺伝子のみならずSMN2遺伝子にも存在することを確認した。SMN2遺伝子はSMN1遺伝子のパラログ遺伝子であり約300万~700万年前にSMN1遺伝子を含むセグメントの重複が起き出現したとされる10)SMN2遺伝子においてもc.462A>Gに相当する塩基が高頻度に存在していることから,SMN1遺伝子c.462A>Gの存在と無関係に生じたとは考えにくく,SMN2遺伝子c.462A>Gもセグメントの重複の際にはすでにSMN2遺伝子上に存在したものと考えられる。

ヒト近縁種(チンパンジー・ゴリラ・オランウータン)のSMN遺伝子において,ヒトc.462に相当する塩基配列はいずれもGであった(Figure 4)。ヒトの祖先はオランウータン・ゴリラ・チンパンジーなどの共通祖先から進化し,約600万年前にチンパンジーの祖先から分かれたと考えられているが11),共通祖先から進化したこれらの近縁種においてもSMN c.462Gが保存されており,かつ,ヒトにおいてもc.462Gを高頻度に認めることから,c.462はAよりGの方がメジャーな集団であることが示唆される。すなわち,MANE(Matched Annotation from NCBI and EMBL-EBI)Selectとして登録されている参照配列NM_000344.4は,c.462においては少数集団である可能性が高い。

近年,次世代シーケンサーなどの遺伝子解析技術の進歩により,遺伝子を網羅的に解析することが可能となった。その結果,多数のバリアントが検出されることも多く,それらバリアントが病的か否かを評価することが求められるようになり,これらを評価するためにメンデル遺伝性疾患では,米国臨床遺伝・ゲノム学会(American College of Medical Genetics; ACMG)と分子病理学会(Association for Molecular Pathology; AMP)により作成されたACMGガイドライン12)が用いられている。本ガイドラインでは,2種類の評価基準(病的バリアントのための基準と良性バリアントのための基準)の該当する基準をスコア化して病原性分類を行う。5q-SMAの発症頻度は1~2万人に1人と考えられているが1),13),これまでの報告や我々の結果を基にしたc.462A>Gの頻度は明らかにそれを上回っており,本ガイドラインにおける良性バリアントのための基準である「Strong evidence of benign impact;BS1:アレル頻度がその疾患における予想よりも高い」を満たす。さらに,SpliceAIやSpliceAidなどのin silico解析において,c.462A>Gがスプライシングに与える影響を認めず,「Supporting evidence of benign impact;BP7:同義置換であり,スプライシングに影響がなく,保存性も高くない」に該当するとして,ClinVarの登録者は「Likely-benign」の判定に至ったと考えられる。健常人多型データベースにて,バリアントのアレル頻度が5%以上であれば「Stand-alone evidence of benign impact; BA1」として単独で「Benign」と判断可能な基準を満たすが,c.462A>Gについては健常人多型データベースであるgnomADにおいて,本バリアントを含むSMN1遺伝子のコーディング領域大半の塩基配列データが存在しない(Figure 5)。gnomADはそのほとんどがショートリードの次世代シーケンサーにより得られた塩基配列であることから,SMN1遺伝子とSMN2遺伝子のように相同性が極めて高い配列が存在する場合,両者を区別することができず,SMN1遺伝子単独の配列データが得られないと考えられる。このように一般集団におけるバリアントの頻度を評価できないケースでは,本ガイドラインの判断基準を十分に適応できない可能性があることに留意しなければならない。

Figure 5  gnomADにおけるSMN1遺伝子

健常人多型データベースであるgnomADにおいて,SMN1遺伝子のコーディング領域大半の塩基配列が登録されていないことが確認された(赤枠部分)。

V  結語

当院においてこれまでに実施した5q-SMAのシーケンス解析結果を報告した。高頻度に認めたc.462A>GはmRNA解析やin silico解析等から,病原性がない,つまり5q-SMAの発症とは関連がないと結論した。

バリアント評価においては,SMN1遺伝子と相同性の高い配列であるSMN2遺伝子の存在により健常人多型データベースが使用できないことや,MANE SelectとなっているSMN1遺伝子の参照配列が少数集団である可能性など,遺伝子の特徴や選択する参照配列に留意する必要がある。

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

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