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技術論文
腎排泄型薬物投与設計時に用いられるCockcroft-Gault式による推算クレアチニンクリアランス(eCCr)の有用性について推算糸球体濾過量eGFR(3項目および5項目)と比較検証
佐瀬 正次郎, 寺田 将人, 石毛 久恵, 斎藤 陽久, 宮内 義浩, 石原 典子, 村野 武義
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2026 年 75 巻 1 号 p. 85-94

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Abstract

腎排泄型薬物投与設計における推算腎機能として個別補正3項目eGFRが推奨されているが,一方で,古くからCockcroft-Gault式(CG式)によるeCCrも医療現場で用いられている。今回,eCCrの有用性について個別補正3項目eGFR,更にAlbとUNを推算式に含む個別補正5項目eGFRと比較検証した。比較対照(24CCrおよび24CCrGFR換算)との乖離比と影響因子(年齢,BMI,Alb,Cre),さらに実際の抗がん剤使用患者の推算腎機能から検証した。その結果,eCCrは,これまでの報告と同様にeGFRよりも体格や年齢の影響を受けやすく肥満患者は腎機能を過大評価し高齢者は過小評価されたが,Albも大きな影響因子となりAlb 3.0 g/dL以下の症例では腎機能が過大評価された。一方,個別補正3項目eGFRはAlbが3.0 g/dL以下の症例では腎機能が過大評価されたが,AlbとUNが計算式に含まれる個別補正5項目eGFRは影響が認められず乖離症例の割合も低かった。実際の抗がん剤(カルボプラチン)投与患者における推算腎機能の比較検証においてもほぼ同様の結果となった。腎排泄型薬物投与設計において推算腎機能を使用する場合,副作用の大きい抗がん剤などの使用に際してはeCCrと3項目eGFRは腎機能を過小および過大評価するリスクが大きいことから推算式にAlbとUNを含む5項目eGFRの使用が望まれた。

Translated Abstract

The eCCr based on the CG equation has long been used in medical practice for designing renally excreted drug dosing. The usefulness of the eCCr was tested in comparison with Individual correction the 3- and 5-parameter eGFRs of the eGFR equation. The eCCr deviated from the comparison (24CCr and 24CCrGFR equivalent) to a greater extent than the eGFR, but the five-parameter eGFR, which included Alb and UN in the estimation formula, had a smaller deviation ratio and higher convergence. The eCCr had a larger diCrepancy ratio when BMI was 25 or higher. eGFR had a smaller effect than eCCr, but the effect was reduced by individual correction. eCCr and 3-parameter eGFR exceeded a diCrepancy ratio of 2.0 when Alb was 3.0 g/dL or lower, but the 5-parameter eGFR was less affected by Alb concentration. In conclusion, 5-parameter eGFR was the most useful renal function indicator. Similar results were observed in patients treated with anticancer drugs (carboplatin). In fact, 3-parameter eGFR overestimated renal function in patients treated with anticancer drugs (carboplatin) compared to 5-parameter eGFR in patients with Alb less than 3.0 g/dL. eCCr was underestimated in elderly patients and overestimated in obese patients.

I  はじめに

抗がん剤など腎排泄型薬物投与設計の際には,腎機能評価は必要不可欠である。

医療現場では古くからCockcroft-Gaultの式(CG式)による推算クレアチニンクリアランス(estimated creatinine clearance; eCCr)が用いられ,多くの薬剤添付文書では腎機能別薬剤投与量設計としてCCr(mL/分)が記載されているが,そのほとんどはCG式から算出されたeCCrである1)。

一方,「CKD診療ガイド2024」2)では,薬剤投与量設計に用いる推算腎機能として血清クレアチニン(serum creatinine; Cre)からCG式によるeCCrも示されているが,eGFR式により算出する推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate; eGFR)を個別体表面積補正した個別補正eGFRが推奨され,筋肉量が標準的でない場合には,シスタチンC(CysC)による個別補正eGFRcysの測定を推奨している。

eCCrは,年齢と体重による補正のみであるためeGFRよりも体格や年齢の影響を受けやすく肥満患者は腎機能を過大評価し高齢者は過小評価されることが報告されている1),3)。

一方,eGFRは痩せた患者や長期臥床患者では腎機能を過大評価することが報告されている1),2)。

eGFRは,現在,広く普及している3項目eGFRとほとんど使用されていないアルブミン(Albumin; Alb)と尿素窒素(blood urea nitrogen; UN)を推算式に含めた正確性が高いとされる5項目eGFRがある4),5)。

我々は,5項目eGFRに着目し3項目eGFRについて個別補正も含めて24時間内因性クレアチニンクリアランス(24CCr)5)および,24CCrのGFR換算(24CCrGFR換算)から比較検証し個別補正5項目eGFRの正確性が高いことを報告した6)。

今回は,その結果を踏まえ,古くから薬剤投与設計に用いられているeCCrの有用性について個別補正eGFR(3項目および5項目eGFR)と比較検証した。

比較対照は,24CCrおよび,24CCrGFR換算とし乖離比と影響因子,実際の抗がん剤(カルボプラチン)投与患者の各推算腎機能の比較検証から有用性について検証した。

II  方法

1. 対象

1) 推算腎機能と比較対照との相関関係

2010年4月1日~2023年3月31日までに,当院において24CCrを測定した18歳以上の427例を対象とした。

その内訳は,男性197例(年齢(平均 ± SD):66.1 ± 13.8,BMI(body mass index):23.8 ± 4.6),女性230例(年齢:58.7 ± 14.8,BMI:23.7 ± 5.0)である(Table 1)。

Table 1 対象患者の内訳

1)算腎機能指標と比較対照との相関関係

男性 女性
患者数 197 230
年齢:平均 ± SD 66.1 ± 13.8 58.7 ± 14.8
65歳以上:人数 124(62.9%) 83(36.1%)
65歳以上:平均 ± SD 74.1 ± 7.3 73.6 ± 6.7
BMI:平均 ± SD 23.8 ± 4.6 23.7 ± 5.0
Alb:平均 ± SD 3.1 ± 0.91 3.2 ± 0.8
2)抗がん剤(カルボプラチン)投与患者における各推算腎機能との相関関係

男性 女性
患者数 32 10
年齢:平均 ± SD 72.0 ± 8.8 65.8 ± 15.3
65歳以上:人数 27(84.4%) 10(100%)
65歳以上:平均 ± SD 74.7 ± 6.6 76.9 ± 4.2
BMI:平均 ± SD 21.1 ± 3.2 25.6 ± 9.4
Alb:平均 ± SD 3.0 ± 0.8 3.3 ± 1.3

1)2010年4月1日~2023年3月31日までに当院において24CCrを測定した18歳以上の427例を対象とする。

2)2023年4月~2024年12月までに当院において抗がん剤(カルボプラチン)を投与した18歳以上の患者49例を対象とする。

2) 抗がん剤(カルボプラチン)投与患者における各推算腎機能の比較検証

2023年4月~2024年12月までに当院において抗がん剤(カルボプラチン)を投与した18歳以上の患者49例を対象とした。

その内訳は,男性32例(年齢(平均 ± SD):72.0 ± 8.8,BMI:21.1 ± 3.2),女性10例(年齢:65.8 ± 15.3,BMI:25.6 ± 9.4)である(Table 1)。

2. 方法

当院の中央検査科においてオリンパスAU5400(2010年4月~2012年4月末),東芝TBA2000FR(2012年5月~2021年12月末),日立ハイテクLABOSPECT 008α(2022年1月~)によりCreは酵素法,AlbはBCP改良法,UNはウレアーゼ・グルタミン酸脱水素酵素(GLDH)法による測定から,以下の推算腎機能を算出し比較対照との相関および乖離比,影響因子等について検証した。

1) 各推算腎機能の算出

Table 2に示すeCCrと3項目および5項目eGFRを算出した。なお,eGFRは,「CKD診療ガイド2024」において薬物投与設計の際は,個別補正が推奨2)されていることから患者の身長と体重から求めた個別補正eGFRとした。

Table 2 各推算腎機能の推算式

各推算腎機能 推算式
[Cockcroft-Gault式] eCCr [(140-年齢)× 体重(kg)]/[72 × Cr(mg/dL)+0.2]× R
※R:男性(R)=1,女性(R)=0.85
[eGFR式] 個別補正3項目 eGFR
(mL/min)
194 × Cre−1.094(mg/dL)× 年齢−0.287 × R × BSA/1.73 m2
※R:男性(R)=1,女性(R)=0.739
※BSA(body surface area:体表面積)=体重0.425(kg)× 身長0.725(cm)× 0.007184
個別補正5項目eGFR
(mL/min)
142 × Cre−0.923(mg/dL)× 年齢−0.185 × Alb0.414 × BUN−0.233(mg/dL)× R × BSA/1.73 m2
※R:男性(R)=1,女性(R)=0.772
※BSA(body surface area:体表面積)=体重0.425(kg)× 身長0.725(cm)× 0.007184
24CCrのGFR換算
(mL/min)
24CCr※×0.715
※ 24CCr(mL/min)=尿Cr/血清Cr × 尿量(mL)/1,440 × 1.73/体表面積

各推算腎機能の推算式を表に示す。

[CG式]1)

eCCr(mL/min):Cockcroft-Gault式を用いCre,年齢,性別,体重による補正から算出した。

[eGFR式]1)

①個別補正3項目eGFR(mL/min)

Cre,年齢,性別,日本人の平均体表面積(身長170 cm,体重63 kg,体表面積1.73 m2)から3項目eGFR(mL/min/1.73 m2)を算出後に体表面積補正を外し患者の身長と体重から求めた個別体表面積から算出した。

②個別補正5項目eGFR(mL/min)5項目eGFR

Cre,AlbとUNを含めた年齢,性別,日本人の平均体表面積(身長170 cm,体重63 kg,体表面積1.73 m2)から5項目eGFR(mL/min/1.73 m2)を算出後に体表面積補正を外し患者の身長と体重から求めた個別体表面積から算出した。

2) 比較対照:24CCrおよび24CCrGFR換算

腎機能の評価法として日常の臨床で使用されている24CCrと24CCrGFR換算を比較対照とした。24CCr(mL/min)は,身長,体重,24時間尿量,血清中と尿中のCreから算出した。

CCrは,Creが尿細管からも分泌されるためGFRよりも20~30%高めとなり腎機能を過大評価することがあるため7),8),「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022」9)では,抗がん剤など薬物投与設計をする際の腎機能評価法としてCCrのGFR換算式(CCr × 0.715)が作成され推奨されているため8),10),11)比較対照を2種類とした。24CCrGFR換算はGFR換算式1) CCr × 0.715から算出した。

3) 各推算腎機能と比較対照との乖離

乖離比を(各推算腎機能)/(24CCr),(各推算腎機能)/(24CCrGFR換算)から算出した箱ひげ図および乖離比の割合を算出し正確性を検証した。

4) 各推算腎機能に及ぼす影響因子

① 年齢による影響

乖離比(各推算腎機能)/(24CCr)と年齢(65歳未満と65歳以上)による影響について箱ひげ図による有意差から検証した。

② BMIによる影響

BMIと乖離比(各推算腎機能)/(24CCr)の相関関係から検証した。

③ Albによる影響

乖離比(各推算腎機能)/(24CCr)とAlb濃度の相関関係から影響について検証した。

④ Creによる影響

乖離比(各推算腎機能)/(24CCr)とCreによる影響について相関関係から検証した。

5) 薬剤投与患者における推算腎機能の比較検証

抗がん剤(カルボプラチン)を投与している患者49名において,最も比較対照との乖離が小さかった個別補正5項目eGFRを比較対照とした場合,eCCrおよび個別補正3項目eGFRとの乖離比および影響因子を検証した。

6) 統計解析

有意差検定としてWelchのt検定を用い,一元配置分散分析により有意差が認められた場合,さらに多重比較を実施し有意差を確認した。

III  結果

1) 各推算腎機能と比較対照との乖離(Figure 1, Table 3)
Figure 1  比較対照との乖離比

比較対照に対してeCCrは,eGFRよりも大きく乖離する症例が多く,5項目eGFRの乖離比が最も小さい傾向にあった。

Table 3 各推算腎機能と比較対照との乖離比の割合

比較対照:24CCr

乖離比 eCCr/
24CCr
個別補正3項目eGFR/
24CCr
個別補正5項目eGFR/
24CCr
4.01以上の割合(%) 0.7% 0.2% 0.0%
3.01~4.0の割合(%) 1.2% 0.5% 0.2%
2.01~3.0割合(%) 2.6% 2.3% 0.9%
1.31~2.0の割合(%) 11.0% 9.4% 8.4%
0.7~1.3の割合(%) 53.6% 65.1% 60.7%
0.7未満の割合(%) 30.9% 22.5% 29.7%
比較対照:24CCrGFR換算

乖離比 eCCr/
24CCrGFR換算
個別補正3項目eGFR/
24CCrGFR換算
個別補正5項目eGFR/
24CCrGFR換算
4.01以上の割合(%) 1.9% 0.7% 0.2%
3.01~4.0の割合(%) 2.1% 1.4% 0.5%
2.01~3.0割合(%) 7.0% 7.7% 6.3%
1.31~2.0の割合(%) 27.2% 28.8% 24.8%
0.7~1.3の割合(%) 55.7% 60.0% 64.9%
0.7未満の割合(%) 6.1% 1.6% 3.3%

eCCrと個別補正eGFR(3および5項目)の比較対照に対する乖離比の割合を表に示す。eCCrは,比較対照に対して乖離比1.3~0.7の割合(%)がeGFRよりも低い。比較対照24CCrGFR換算に対しては個別補正5項目eGFRが最も高い。

比較対照に対してeCCrはeGFRよりも大きく乖離する傾向が認められた。

比較対照が24CCrの場合,乖離比0.7~1.30以内に入る割合がeCCrは53.6%,個別補正3項目eGFRは65.1%,個別補正5項目eGFRは60.7%であった。

乖離比2.01以上となる割合は,eCCrが最も高く4.5%,個別補正3項目eGFRは3.0%,個別補正5項目eGFRは1.1%と最も低かった。

比較対照が24CCrGFR換算の場合は,乖離比0.7~1.30以内に入る割合がeCCrは55.7%,個別補正3項目eGFRは60.0%,個別補正5項目eGFRは64.9%であった。

乖離比2.01以上となる割合はeCCrが最も高く11.0%,個別補正3項目eGFRは9.8%,一方,個別補正5項目eGFRは7.0%と極端に乖離する割合が最も低かった。

2) 各推算腎機能に及ぼす影響

① 年齢による影響(Figure 2)
Figure 2  年齢による影響

eCCrと個別補正3項目eGFRは,年齢による有意差は認められないが,個別補正5項目eGFRは有意差(p < 0.05)が認められる。

eCCrと個別補正3項目eGFRは,年齢による有意差は認められなかったが,個別補正5項目eGFRは有意差(p < 0.05)が認められた。

② BMIによる影響(Figure 3)
Figure 3  BMIによる影響

eCCrは,eGFRよりもBMIが25以上において乖離比が大きくなる傾向が認められた。

eCCrは,eGFRよりもBMIが25以上において乖離比が大きくなる傾向が認められた。eCCrは,BMIが30以上の極端な肥満患者の一部に乖離比4.0を超える症例が散見された。個別補正eGFRは,BMIが40以上は乖離比が大きくなる傾向が認められた。

③ Albによる影響(Figure 4)
Figure 4  Albによる影響

eCCrはeGFRよりもAlb濃度が3.0 g/dL以下になると乖離比が大きくなる傾向を示し,5項目eGFRはAlb濃度との関係に一定の傾向は認められない。

eCCrと個別補正3項目eGFRは,Alb濃度が3.0 g/dL以下は乖離比が大きくなる傾向が認められ,特にeCCrは大きく乖離する症例が散見された。個別補正5項目eGFRはAlb濃度と乖離比には一定の傾向は認められなかった。

④ Creによる影響(Figure 5)
Figure 5  Creによる影響

Creが2 mg/dL以下に乖離比が大きくなる傾向が見られるが,Creが0.6 mg/dL未満の低濃度域における影響は認められない。

Creが2 mg/dL以下に乖離比が大きくなる傾向が見られるが,Creが0.6 mg/dL未満の極端な低濃度域における影響は認められなかった。

3) 薬剤投与患者における推算腎機能の比較検証(Figure 6)
Figure 6  カルボプラチン投与患者の各推算腎機能と個別補正5項目eGFRとの乖離比

抗がん剤(カルボプラチン)投与患者49例において個別補正5項目eGFRを比較対象とした場合,eCCrおよび個別補正3項目eGFRのとの乖離比を示した。

eCCrは,個別補正5項目eGFRに対して低めに乖離する症例と高めに乖離する症例が認められた。3項目eGFRは高めに乖離する症例が多いがeCCrよりも乖離比は小さく有意差(p < 0.01)が認められた。

Table 4に乖離比の大きい症例24例を乖離比0.8以下,1.2以上は灰色で示した。eCCrは70歳以上の高齢患者では乖離比0.8以下の症例が多く,乖離比が1.2以上の症例はAlbが低い症例と超肥満症例であった。

Table 4 カルボプラチン投与患者の推算腎機能の比較(乖離比0.8以下,1.2以上の症例抜粋)

年齢 BMI Alb Cre eCCr酵素法 個別補正
3項目eGFR
個別補正
5項目eGFR
個別補正5項目eGFRとの乖離比
eCCr酵素法 個別補正
3項目eGFR
33 18.9 2.1 1.48 33.1 27.2 19.0 1.74 1.43
73 17.6 1.9 1.85 20.9 24.4 20.2 1.04 1.21
67 25.1 2.5 1.86 34.3 30.3 23.4 1.47 1.29
64 18.0 1.3 0.77 46.5 51.9 32.2 1.45 1.61
86 18.6 4.1 1.22 23.2 34.7 35.8 0.65 0.97
77 17.2 2.2 0.62 34.1 50.5 41.5 0.82 1.22
87 21.1 1.7 0.90 36.8 54.9 42.7 0.86 1.29
75 16.3 4.2 0.82 30.1 40.1 43.7 0.69 0.92
75 29.6 3.1 0.72 42.7 45.2 44.6 0.96 1.01
74 19.6 2.4 0.88 46.7 60.6 48.7 0.96 1.24
77 18.2 4.2 1.15 35.2 45.4 50.4 0.70 0.90
84 20.1 2.2 0.81 41.6 62.5 52.0 0.80 1.20
81 18.9 3.8 0.62 34.5 51.1 52.1 0.66 0.98
93 24.9 3.8 0.96 35.5 52.6 54.6 0.65 0.96
75 19.9 3.9 0.69 40.1 50.7 56.8 0.71 0.89
75 18.3 1.8 0.64 53.5 81.1 59.9 0.89 1.35
69 19.3 2.9 0.72 55.5 73.9 63.3 0.88 1.17
78 19.8 2.3 0.69 51.6 75.7 65.5 0.79 1.16
68 19.3 3.5 0.86 50.4 62.6 69.1 0.73 0.91
70 23.5 2.7 0.63 69.1 87.8 70.5 0.98 1.25
69 16.1 2.8 0.63 57.0 85.9 72.9 0.78 1.18
72 15.0 2.4 0.48 58.2 105.4 78.1 0.74 1.35
82 20.3 4.2 0.47 48.0 75.4 79.1 0.61 0.95
55 43.1 3.8 0.67 125.7 84.6 82.8 1.52 1.02

個別補正5項目eGFRを比較対象とした場合,eCCrおよび個別補正3項目eGFRとの乖離比(乖離比0.8以下,1.2以上の症例は灰色)と影響因子を示した。

一方,個別補正3項目eGFRではAlbが低い症例は乖離比1.2以上と大きくなる傾向が認められた。

IV  考察

今回,古くから薬剤投与設計に用いられている推算腎機能eCCを個別補正eGFR(3項目および5項目)と比較検証したところ,eCCrは個別補正eGFRよりも比較対照に対して大きく乖離する症例が散見され腎機能の過大・過小評価が示唆された。

eCCrは,eGFRよりも体格や年齢の影響を受けやすく肥満患者は腎機能を過大評価し高齢者は過小評価されることが報告されているが1),3),今回の検証では体格や年齢だけできなくAlbが大きな影響因子となりAlb 3.0 g/dL以下の症例では腎機能が過大評価された。

一方,比較対照との乖離比が最も小さく収束性が高かったのはAlbとUNを推算式に含めた5項目eGFRであった。

5項目eGFRは「日本人のGFR推算式」のプロジェクトにおいて作成した式の中で最も高精度にGFRを推算できたと今井ら4),5)は報告しており,今回の検証においても有用性の高い推算腎機能検査であることが確認された。

薬剤投与設計では薬剤により基準が異なるが腎機能低下領域(60 mL/min以下)を細分化し9),12),例えば,60~45,45~30,30~15,15~,または10~(単位mL/min)として薬剤用量が調整されている。そこで,今回,実際の抗がん剤(カルボプラチン)投与患者における比較検証では乖離比0.8以下を過小評価,1.2以上を過大評価とし影響因子について評価した。

その結果,年齢による影響ではeCCrは有意差が認められなかったが,抗がん剤(カルボプラチン)投与患者では,乖離比0.8以下の症例に高齢者が多数認められ腎機能の過小評価報告1),3)と同様の結果になることを確認した。

一方,eCCrは,BMIが25以上の肥満患者において乖離比が大きくなる傾向が認められ,eGFRは,BMIが18.5以下は乖離比が大きくなり,25以上では5項目eGFRよりも乖離比が大きくなる症例が散見された。

eCCrは,推算式に身長が考慮されず体重のみを入力するため体重が倍になるとeCCrも倍に推算されるため,肥満患者では理想体重を用いることが推奨されており1),13),肥満患者では体表面積未補正eGFRのほうがeCCrよりも精度が高いとの報告もある3)。

そのため,今回,BMIをやせ型(18.5未満),標準型(18.5以上~25未満),肥満型(25以上)に区分し標準体重を入力した場合の乖離比への影響について検証しFigure 7に示した。

Figure 7  eCCrの体重を標準体重で腎機能を算出した場合の乖離比の変化

肥満型に標準体重を入力すると乖離比は小さくなるが,標準型は乖離比に差はみられない。やせ型は,逆に乖離が大きくなる。

肥満型に標準体重を入力すると乖離比は小さくなり乖離比の平均値も1.0に近づいた。

一方,標準型は乖離比に差はみられなかったが,やせ型は乖離比が1.0に近づくが,逆に大きく乖離する症例が増加した。このことから,肥満型に対しては標準体重を入力することにより腎機能の過大評価のリスクが軽減することが確認され,その重要性が示唆された。

Alb 3.0 g/dL以下の腎機能の過大評価については,低アルブミン血症ではCrの尿細管分泌が増加するため腎機能を過大評価することが報告されており14)~16)個別補正3項目eGFRと同様にeCCrも過大評価される症例が散見された。

CG式や日本腎臓学会のeGFR式は健常人やCKD患者のデータをもとに開発されており,がん患者などを対象として作成されたものではないため,がん薬物療法対象患者に対する妥当性は未確定であるとの報告もある9)。

副作用の大きいカルボプラチンは「Calvert式」17)により投与量が設定され腎機能指標としてeCCr,個別補正3項目eGFR,実測24CCrが使用されている。

今回の検証からeCCrは超肥満患者に標準体重を使用することでリスクを低減できたが,Alb低値患者は腎機能過大評価による副作用のリスクが大きく,個別補正3項目eGFRも腎機能の過大評価が確認された。

これらのことから,「Calvert式」に用いる推算腎機能は正確性が高く日常の臨床検査で測定できるAlbとUNを含む個別補正5項目eGFRであった。

V  結語

eCCrは高齢者による腎機能の過小評価,肥満患者による過大評価だけではなくAlb低値患者における腎機能過大評価の影響が大きかった。

一方で,eCCrの超肥満患者に対しては標準体重を入力することにより腎機能の過大評価のリスクが軽減することが確認された。

特に,副作用の大きい抗がん剤の使用に際しては,超肥満患者やAlb低値患者は腎機能を過大評価するリスクの大きいeCCrと3項目eGFRの使用は避け推算式にAlbとUNを含む5項目eGFRの使用が望まれた。

本研究は,地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院倫理審査委員会の承認(登録番号:2023031401)得て実施した。

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

 謝辞

本論文の作成にあたり,ご指導頂きました前東邦大学理学部臨床検査技師課程伊藤展枝先生に深謝いたします。

文献
 
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